エチレン,アセチレンの混成軌道と酸性度 薬剤師国家試験82回問2cd

第82回薬剤師国家試験 問2cd 
有機化合物の酸性度、塩基性度及び混成軌道に関する下記の記述の正誤を判定してみよう。

 

c ethylene(ethene)炭素の混成軌道はsp2であるのに対し、acetylene(ethyne)炭素の混成軌道はspであり後者の軌道のs性が高い。

 

d 酸性度はacetyleneの方がethyleneよりも高い。

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第82回薬剤師国家試験 問2cd 解答解説

 

◆ cについて
c 〇 ethylene(ethene)炭素の混成軌道はsp2であるのに対し、acetylene(ethyne)炭素の混成軌道はspであり後者の軌道のs性が高い。

 

混成軌道ごとの軌道のS性は下記の通り。
sp3:25%
sp2:33.3%
sp:50%

 

s性が高いほど原子核に近い軌道であり、電子が原子核に引き付けられる。

 

 

◆ dについて
d 〇 酸性度はacetyleneの方がethyleneよりも高い。

 

★ 炭素酸の軌道のs性と酸性の強さの関係

 

炭化水素がH+を放出して酸として働く時、これを炭素酸という。
炭素酸は軌道のs性が高いほど酸性が強い。

 

詳細は下記のリンク先を参照
炭素酸の軌道のs性と酸性度 94回問4a

 

アセチレンの炭素の混成軌道はspであり、
エチレンの炭素の軌道はsp2であるので、
アセチレン炭素の方が軌道のs性は高い。
よって、アセチレンはエチレンに比べて炭素酸としての酸性度は強い。

 

エチレン,アセチレンの混成軌道と酸性度 薬剤師国家試験82回問2cd

 

 

★参考外部サイトリンク
酸・塩基の定義(猫でもわかる有機化学さん)

 

酸・塩基の平衡(猫でもわかる有機化学さん)

 

酸性の強弱(猫でもわかる有機化学さん)

 

酸性度の概要(薬学これでOK!さん)

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