アルケン 四酸化オスミウムOSO4 硫化水素処理 シンジヒドロキシ化 89回薬剤師国家試験問8b
第89回薬剤師国家試験 問8b
二重結合への付加反応に関する記述の正誤を判定してみよう。
b maleic acidを四酸化オスミウムで酸化すると、meso-tartaric acid（メソ酒石酸）が生成する。
第89回薬剤師国家試験 問8b 解答解説
b 〇 maleic acidを四酸化オスミウムで酸化すると、meso-tartaric acid（メソ酒石酸）が生成する。
bの反応はアルケンに四酸化オスミウム（OSO4）＋NaHSO3（またはH2S）水溶液を反応させることによる、アルケンのsyn−ジヒドロキシ化反応である。C=Cに2つのOHがシン付加したアルコールが得られる。
なお、2つの炭素原子にOHが1つずつ結合したアルコールはグリコールと呼ばれる。
bの反応ではマレイン酸（maleic acid）のC=Cに2つのOHがsyn付加したCまたはC´の酒石酸（tartaric acid）が生成するが、CまたはC´は分子内に対称面があり、メソ化合物である（不斉炭素の絶対配置は（R,S））。よって、CとC´は同一化合物である。なお、BとB´も分子内に対称面があるメソ化合物であり、BとB´は同一化合物である。
★ アルケンに四酸化オスミウム＋NaHSO3（またはH2S）水溶液を反応させるアルケンのジヒドロキシ化がsyn付加である理由
アルケンに対してOSO4が付加する際、OSO4の2つのOが同じ側に付加する。この2つのOが最終的にOHに置換するようなことになる。よって、アルケンのOSO4を用いたジヒドロキシ化では、2つのOHがsyn付加したアルコールが主生成物となる。