アルケン 四酸化オスミウムOSO4 NaHSO3処理 98回薬剤師国家試験問103の5
第98回薬剤師国家試験 問103の5
AとBはそれぞれ互いに異性体である。以下の反応について、どちらが主生成物であるか判定してみよう。
第98回薬剤師国家試験 問103の5 解答解説
★ アルケンの求電子付加反応
アルケンのC=Cはσ結合の上下にπ結合の電子雲が広がっているので、アルケンは電子豊富な構造である。
電子豊富なアルケンは求電子試薬と反応し、求電子付加反応を起こすことが多い。
設問の反応について、
5の反応はアルケンに四酸化オスミウム(OSO4)+NaHSO3(またはH2S)水溶液を反応させることによる、アルケンのsyn−ジヒドロキシ化反応である。C=Cに2つのOHがシン付加したアルコールが得られる。なお、2つの炭素原子にOHが1つずつ結合したアルコールはグリコールと呼ばれる。
したがって、5の反応の主生成物はBである。
反応5の主生成物であるBの絶対配置は(R,S)で分子内に対称面があり、メソ化合物である。
★ アルケンに四酸化オスミウム+NaHSO3(またはH2S)水溶液を反応させるジヒドロキシ化がsyn付加である理由
アルケンに対してOSO4が付加する際、OSO4の2つのOが同じ側に付加する。この2つのOが最終的にOHに置換するようなことになる。
よって、アルケンのOSO4を用いたジヒドロキシ化では、2つのOHがsyn付加したアルコールが主生成物となる。
★他サイトさんの解説へのリンク
第98回103(e-RECさん)