ペントースリン酸回路の中でNADPHを生じる反応の基質 111回薬剤師国家試験問12の解説
111回薬剤師国家試験 問12
ペントースリン酸回路の中でNADPHを生じる反応の基質はどれか。1つ選びなさい。
1 グルコース 1-リン酸
2 グルコース 6-リン酸
3 フルクトース 6-リン酸
4 グリセルアルデヒド 3-リン酸
5 ホスホエノールピルビン酸
ペントースリン酸回路は、細胞質におけるグルコース 6-リン酸の別の代謝系です。
ペントースリン酸回路は、酸化的段階と非酸化的段階に分けられ、
NADPHは酸化的段階で作られます。
下の図はペントースリン酸回路の流れです。

ペントースリン酸回路の中でNADPHを生じる反応は、
以下の2つです。
D-グルコース6-リン酸 + NADP+
→ D-グルコノ-1,5-ラクトン6-リン酸 + NADPH + H+
この反応はグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼが触媒として働きます。
6-ホスホ-D-グルコン酸 + NADP+
→ D-リブロース5-リン酸 + NADPH + H+ + CO2
この反応は6-ホスホ-D-グルコン酸デヒドロゲナーゼが触媒として働きます。
ペントースリン酸回路の役割
ペントースリン酸回路の主な役割は、
NADPHを作ることと、リボース5-リン酸を作ることです。
1. NADPHを産生する
ペントースリン酸回路の最重要ポイントは、グルコース6-リン酸からNADPHを産生することです。
NADPHは、体内で「還元力」として働きます。主な用途は次の通りです。
脂肪酸合成
コレステロール合成
ステロイドホルモン合成
還元型グルタチオンの維持
薬物代謝
活性酸素への防御
2. リボース5-リン酸を供給する
ペントースリン酸回路では、リボース5-リン酸も作られます。
リボース5-リン酸は、ヌクレオチド合成に必要です。
つまり、DNAやRNAの材料になります。
そのため、細胞分裂が盛んな組織では、リボース5-リン酸の供給も重要です。
3. 解糖系とつながる
ペントースリン酸回路の非酸化的段階では、糖の炭素骨格が組み替えられます。
その結果、以下のような解糖系中間体ができます。
フルクトース6-リン酸
グリセルアルデヒド3-リン酸
これらは解糖系に再合流します。
この代謝系の呼称について
この代謝系がペントースリン酸回路と呼ばれる理由は、
この経路の途中で5炭糖リン酸が作られるからです。
なお、英語では pentose phosphate pathway といい、
pentose=5炭糖、phosphate=リン酸、pathway=経路 という意味です。
日本語でもペントースリン酸経路と呼ばれますが、
この代謝系がクエン酸回路(TCA回路)のような「閉じた循環型」ではなく、
出発物質(グルコース-6-リン酸)から始まり、
最終的に分解されて解糖系へ合流する「直線的な分岐経路」の性質を持つので、
「経路」と呼ぶ方がその特性をより正確に表しているとみなされています。
