アセトンアニオンの共鳴構造と真の構造への寄与 93回問3d
第93回薬剤師国家試験 問3d
共鳴に関する記述のうち、正しいものはどれか。
d アセトンアニオン (アセトンの脱プロトン化によって生じるエノラートイオン) の共鳴構造には、真の構造への寄与の大きい構造と寄与の小さい構造がある。
第93回薬剤師国家試験 問3d 解答解説
d ○ アセトンアニオン (アセトンの脱プロトン化によって生じるエノラートイオン) の共鳴構造には、真の構造への寄与の大きい構造と寄与の小さい構造がある。
共鳴構造が複数描ける物質では、
個々の共鳴構造式は描かれるだけの仮のもので実際にはそれらの構造になることはなく、
真の構造はそれら共鳴構造が合わさった共鳴混成体と呼ばれるものである。
共鳴混成体はどの共鳴構造よりも安定である。
共鳴混成体の構造は個々の共鳴構造が均等に合わさったものではない(個々の共鳴構造は等価ではない)。
共鳴混成体が形作られる上で、
安定性の高い共鳴構造の寄与は大きく、
安定性の低い共鳴構造の寄与は小さい。
アセトンのα水素がプロトンとして引き抜かれるとアセトンアニオンが生成する。
アセトンアニオンは下記の@とAの2つの共鳴構造が描かれる。これら2つをまとめてエノラートイオンと呼ぶ。
上記のアセトンアニオンの2つの共鳴構造のうち、
電気陰性度の大きい酸素原子上に負電荷があるAの共鳴構造の方が安定であるため、
共鳴混成体(シンの構造)に対してAの方が寄与は大きい。
★参考外部サイトリンク
共鳴(猫でもわかる有機化学さん)