日本薬局方医薬品の赤外吸収スペクトル 84回薬剤師国家試験問25

84回薬剤師国家試験 問25
次の図は日本薬局方医薬品の赤外吸収スペクトルである。
医薬品とスペクトルを正しく組み合わせなさい。
ただし、試料はいずれも臭化カリウム錠剤法により調製した。

 

日本薬局方医薬品の赤外吸収スペクトル 84回薬剤師国家試験問25

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84回薬剤師国家試験 問25 解答解説

 

特性吸収より官能基の種類と数を推定する。
特性吸収については下記のリンク先を参照
指紋領域と特性吸収帯とは

 

 

★ ヒドロキシ基,アミンの特性吸収
O−Hの伸縮振動は3600〜3200cm-1のピークとして観測される。
N−Hの伸縮振動は3500〜3300cm-1のピークとして観測される。

 

なお、O−HやN−Hの伸縮振動のピークは水素結合形成で低波数シフトする。
下記のリンク先を参照
赤外吸収の水素結合による低波数シフト 95回問34b

 

 

★ カルボニルの特性吸収

 

C=O伸縮振動は1800〜1650cm-1に観測される。
また、ピークの本数からカルボニルの数を推測できる。

 

なお、カルボン酸誘導体の吸収波数については下記のリンク先を参照
カルボン酸誘導体の吸収波数の違い 83回問9イ

 

 

◆ アについて

 

アのスペクトルは化合物cのものと考えられる。

 

日本薬局方医薬品の赤外吸収スペクトル 84回薬剤師国家試験問25

 

 

3600〜3200cm-1の幅広で深いピークがあることから、
O−HまたはN−Hが存在すると考えられる。

 

1800〜1650cm-1に深いピークが複数あることから、
カルボニルが複数存在すると考えられる。

 

以上より、アのスペクトルは化合物cのものと考えられる。

 

 

◆ イについて

 

イのスペクトルは化合物dのものと考えられる。

 

日本薬局方医薬品の赤外吸収スペクトル 84回薬剤師国家試験問25

 

3600〜3200cm-1の幅広で深いピークがあることから、
O−HまたはN−Hが存在すると考えられる。

 

1800〜1650cm-1に深くて鋭利なピークが1つあることから、
カルボニルが1種類存在すると考えられる。

 

以上より、イのスペクトルは化合物dのものと考えられる。

 

 

◆ ウについて

 

ウのスペクトルは化合物bのものと考えられる。

 

日本薬局方医薬品の赤外吸収スペクトル 84回薬剤師国家試験問25

 

3600〜3200cm-1の幅広で深いピークがあることから、
O−HまたはN−Hが存在すると考えられる。

 

1800〜1650cm-1に深いピークが無いことから、
カルボニルは存在しないと考えられる。

 

以上より、ウのスペクトルは化合物bのものと考えられる。

 

 

◆ エについて

 

エのスペクトルは化合物aのものと考えられる。

 

日本薬局方医薬品の赤外吸収スペクトル 84回薬剤師国家試験問25

 

3600〜3200cm-1の幅広で深いピークが無いことから、
O−HまたはN−Hは存在しないと考えられる。

 

1800〜1650cm-1に深いピークがあることから、
カルボニルが存在すると考えられる。

 

以上より、エのスペクトルは化合物aのものと考えられる。

 

なお、aはカルボニルを2つ有するが、
それら2つのピークが重なり1本のピークとなっている。
このように、ピークが重なることで構造中のカルボニルの数とピークの数が異なる場合があるので注意。

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