フルボキサミンと併用禁忌の薬剤 109回薬剤師国家試験問272−273
109回薬剤師国家試験 問272−273
53歳男性。以前から、A病院内科で高血圧症、脂質異常症、糖尿病、胃潰瘍、腰痛症に対して治療を受けており、症状は安定していた。最近、仕事のストレスのためか気分が落ち込むことが多く、食欲不振、不眠などが続くため、B心療内科を受診した。うつ病と診断され、処方箋を持って、かかりつけの薬局を訪れた。
問272(実務)
かかりつけ薬剤師が処方監査した際、
心療内科と内科の処方薬剤の中に併用禁忌の組合せがあるため、
疑義照会を行うこととなった。その疑義照会の原因となる薬剤はどれか。
1つ選びなさい。
1 ニフェジピン徐放錠
2 シンバスタチン錠
3 メトホルミン塩酸塩錠
4 ファモチジン口腔内崩壊錠
5 チザニジン錠
問273(薬剤)
前問の薬剤を選択した理由に最も深く関係する機序はどれか。1つ選びなさい。
1 胃内pHの上昇
2 小腸CYP3A4発現量の増加
3 小腸P−糖タンパク質発現量の増加
4 肝CYP1A2の阻害
5 肝CYP3A4の阻害
109回薬剤師国家試験 問272(実務) 解答解説
問272について、
フルボキサミンマレイン酸塩錠(デプロメール,ルボックス)と併用禁忌の薬剤は、
選択肢5のチザニジン錠(テルネリン)である。
問273について、フルボキサミンとチザニジンが併用禁忌である理由は、
選択肢4の肝CYP1A2の阻害である。
フルボキサミンは、CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4を阻害し、
特にCYP1A2、CYP2C19の阻害作用は強いと考えられている。
チザニジンは、主としてCYP1A2で代謝され、不活化される。
フルボキサミンとチザニジンを併用すると、
フルボキサミンがCYP1A2を強く阻害し、チザニジンの血中濃度を上昇させると考えられる。
その結果、チザニジンによりアドレナリンα2受容体が過剰に刺激され、副作用として、著しい血圧低下,傾眠,めまい及び精神運動能力の低下等があらわれる恐れがある。
そのため、フルボキサミンとチザニジンは併用禁忌となっている。
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