薬剤師国家試験過去問題集 コントロールドリリース

OROSが応用されたメチルフェニデート塩酸塩徐放錠 102回薬剤師国家試験問179

102回薬剤師国家試験 問179
下図は、浸透圧を利用した放出制御システム(Osmotic controlled release oral delivery system:OROS)が応用されたメチルフェニデート塩酸塩徐放錠の断面図である。以下の記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選びなさい。

 

102回薬剤師国家試験問179 OROSが応用されたメチルフェニデート塩酸塩徐放錠

 

1 溶出の初期では、外皮(放出制御膜)を覆っている薬物コーティング層から薬物放出が起こる。
2 体内の水分が外皮を通じて内側に浸透する。
3 プッシュ層の膨張に伴って、薬物放出口から薬物層1、2中の薬物が放出される。
4 外皮の膜全体から、内部の薬物が徐々に放出される。
5 外皮は内部の不溶性成分と一緒に糞便中に排泄される。

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102回薬剤師国家試験 問179 解答解説

 

◆ 1について
1 〇 溶出の初期では、外皮(放出制御膜)を覆っている薬物コーティング層から薬物放出が起こる。

 

本剤は、コンサータ錠というメチルフェニデート塩酸塩の放出制御製剤である。
本剤は、OROSの放出制御膜の外側を薬物コーティング層で覆うことにより、
外側の薬物コーティング層が即効性を発揮し、
内側のOROSが持続性を発揮する即効性をメチルフェニデート塩酸塩のコンサータである。

 

コンサータ錠では、投与後、まず、外側の薬物コーティング層が溶解することにより、メチルフェニデート塩酸塩が放出される。

 

 

◆ 2,3について
2 〇 体内の水分が外皮を通じて内側に浸透する。

 

3 〇 プッシュ層の膨張に伴って、薬物放出口から薬物層1、2中の薬物が放出される。

 

OROSは浸透圧ポンプ型錠剤とも呼ばれ、浸透圧型放出制御製剤の1種である。
浸透圧型放出制御製剤は、半透膜の外皮で覆われたリザーバー型製剤であり、リザーバー内には主薬を含む薬物層と浸透圧上昇物質を含むプッシュ層がある。
投与後、半透膜から体内の水が浸入してプッシュ層の浸透圧上昇物質が溶解し、プッシュ層が膨張すると、薬物層が押され、半透膜に開けられている薬物放出口から主薬が押し出されるかたちで放出される。
浸透圧型放出制御製剤では、半透膜と浸透圧上昇物質の働きで、リザーバー内の浸透圧が外部より高い状態が続くため、長時間一定速度で主薬が放出される(長時間0次放出)。

 

 

◆ 4について
4 × 外皮の膜全体から、内部の薬物が徐々に放出される。

 

OROS等の浸透圧型放出制御製剤からの薬物放出について、外皮の膜全体から放出されるのではなく、薬物放出口のみから放出される。

 

 

◆ 5について
5 〇 外皮は内部の不溶性成分と一緒に糞便中に排泄される。

 

本剤の外皮は不溶性の半透膜であるため、最終的に他の不溶性成分と一緒に糞便中に排泄される。
なお、徐放性製剤において、主薬を放出し終えて残った薬剤の殻をゴーストタブレット、または、ゴーストピルと呼ぶ。ゴーストピルが排泄されることについて、患者の不安を取り除くために、問題ないことを予め伝えておく必要がある。

 

 

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