求核置換反応(SN反応)はどれか 104回薬剤師国家試験問102

第104回薬剤師国家試験 問102
下記の1〜5の各反応について、求核置換反応(SN反応)かどうか判定してみよう。

 

求核置換反応(SN反応)はどれか 104回薬剤師国家試験問102

 

 

求核置換反応(SN反応)はどれか 104回薬剤師国家試験問102

 

 

求核置換反応(SN反応)はどれか 104回薬剤師国家試験問102

 

 

求核置換反応(SN反応)はどれか 104回薬剤師国家試験問102

 

 

求核置換反応(SN反応)はどれか 104回薬剤師国家試験問102

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第104回薬剤師国家試験 問102 解答解説

 

求核置換反応とは、一般に、電気陰性度の大きい原子を有する脱離基(L)が結合することにより正に分極した炭素(Cδ+)を有する化合物を基質とし、それに求核剤(Nu)が求核攻撃し、脱離基(L)と求核剤(Nu)が置換したものが生成する反応である。

 

求核置換反応(SN反応)はどれか 104回薬剤師国家試験問102

 

 

求核置換反応(SN反応)として代表的なものにSN1反応とSN2反応がある。
詳細は下記のリンク先を参照
SN1・SN2の基質の構造と反応性 83回問7c

 

以下では、1〜5の反応が求核置換反応か考えていく。

 

◆ 1について

 

求核置換反応(SN反応)はどれか 104回薬剤師国家試験問102

 

 

反応1は求核置換反応(SN反応)である。機構としてはSN1が考えられる。
基質のゲラニル二リン酸から二リン酸が脱離するとアリルカチオン(−C=C−C+)が生成する。アリルカチオン(−C=C−C+)は共鳴するので安定なカルボカチオンである。アリルカチオン(−C=C−C+)に対して求核剤としてH2Oが付加し、その後、脱プロトン化を経て、最終的に、ゲラニル二リン酸において二リン酸とOHが置換したものが生成する。

 

 

◆ 2について

 

求核置換反応(SN反応)はどれか 104回薬剤師国家試験問102

 

反応2は求核置換反応(SN反応)である。機構としてはSN2が考えられる。
基質をS−アデノシルメチオニン(SAM)とし、
SAMのS+が結合したメチル基(CH3)の炭素が正に分極しており(Cδ+)、
そのCδ+に対してノルアドレナリンのアミノ基(NH2)が求核付加すると同時にSを含む置換基が脱離基として外れ、
結果として、SAMのメチル基(CH3)においてSを含む置換基とノルアドレナリンが置換した化合物(アドレナリン)が生成している。

 

 

◆ 3について

 

求核置換反応(SN反応)はどれか 104回薬剤師国家試験問102

 

反応3は求核置換反応(SN反応)ではない。
基質のオキサロコハク酸において脱炭酸反応が起こり、
結果、COO−とHが置換したもの(αケトグルタル酸)が生成しており、
置換反応とみなせるが、この脱炭酸は基質に対して求核剤が求核攻撃をする機構で起こっているとは考えにくい。

 

 

◆ 4について

 

求核置換反応(SN反応)はどれか 104回薬剤師国家試験問102

 

反応4は求核置換反応(SN反応)ではない。
基質のOHが結合する炭素とその隣接炭素から、
それぞれOHとHが脱離してアルケンが生成している。
このように、脱離基が結合する炭素とその隣接炭素から、
脱離基とHが脱離してアルケンが生成する反応は脱離反応である。

 

 

◆ 5について

 

求核置換反応(SN反応)はどれか 104回薬剤師国家試験問102

 

反応5は求核置換反応(SN反応)ではない。
この反応は逆アルドール反応であり、
フルクトース1,6−ビスリン酸からジヒドロキシアセトンリン酸(左)とグリセルアルデヒド3−リン酸(右)を生成している。
詳細は下記のリンク先を参照
アルドラーゼの触媒反応 103回問106

 

 

★他サイトさんの解説へのリンク
第104回問102(e-RECさん)

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