エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の性質 104回薬剤師国家試験問100
104回薬剤師国家試験 問100
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 塩基性条件下で十座配位子として働く。
2 酸性条件下では、塩基性条件下より強く配位結合する。
3 キレート効果により、アンモニアよりも安定な錯体を形成する。
4 カルシウムイオンとの配位結合形成により蛍光特性が変化するため、カルシウムイオンの定量分析に用いられる。
5 配位結合により、五員環のキレート環を形成する。
104回薬剤師国家試験 問100 解答解説
◆ 1,2について
1 × 塩基性条件下で十座配位子として働く。
→ 〇 塩基性条件下で六座配位子として働く。
2 × 酸性条件下では、塩基性条件下より強く配位結合する。
→ 〇 塩基性条件下では、酸性条件下より強く配位結合する。
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)は、塩基性条件下では、カルボキシ基はプロトンが解離してアニオン(COO:−)となり、アミンはプロトンが解離して分子形(N:)となるので、六座配位子として働く。
酸性条件下では、カルボキシ基は分子形(COOH)となりやすく、アミンは陽イオン形(NH+)となりやすいので、それぞれ配位結合を形成しにくくなる。
◆ 3,5について
3 〇 キレート効果により、アンモニアよりも安定な錯体を形成する。
5 〇 配位結合により、五員環のキレート環を形成する。
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)は下記のように金属イオンと配位結合を形成し、5員環を形成する。
このように、1つの金属に対して、これを挟むように多座配位子が配位してできる環状錯体をキレートと呼ぶ。
キレートはアンモニアのような単座配位子が同じ数だけ配位してできる錯体よりも安定であり、これをキレート効果と呼ぶ。
◆ 4について
4 × カルシウムイオンとの配位結合形成により蛍光特性が変化するため、カルシウムイオンの定量分析に用いられる。
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)はキレート滴定による定量分析に用いられるが、
キレート滴定では指示薬の蛍光特性が変化することを終点の検出に利用しており、EDTAは配位結合を形成しても蛍光を発光しない。
★ 参考外部サイトリンク
キレート滴定の原理とEDTAの性質(ジグザグ化学.comさん)
★他サイトさんの解説へのリンク
104回問100(e-RECさん)