薬剤師国家試験過去問題集 DDSの総合問題

ロコアテープの特徴と用法用量・相互作用 105回薬剤師国家試験問284,285

105回薬剤師国家試験 問284−285
68歳女性。肝及び腎機能の検査値は正常範囲内であった。変形性関節症と膀胱炎のため、処方1の薬剤で治療を受けていた。

 

105回薬剤師国家試験問284,285 ロコアテープが高い鎮痛効果を示す薬剤学的な理由

 

問284(薬剤)
ロコアテープには、フルルビプロフェンの光学異性体のうち活性体のみが配合されており、従来のフルルビプロフェン貼付剤と比較して鎮痛効果が高い製剤として臨床で使用されている。この高い鎮痛効果を示す薬剤学的な理由として考えられる最も適切なのはどれか。1つ選びなさい。
1 ハッカ油の配合で、エスフルルビプロフェンの基剤/皮膚間の分配係数が高くなるため。
2 ハッカ油の配合で、エスフルルビプロフェンの揮発性が高くなるため。
3 ハッカ油の配合で、テープ剤の皮膚粘着性が低くなるため。
4 ハッカ油の配合で、エスフルルビプロフェンの経皮吸収性が高くなるため。
5 基剤中に大量の水を含むことで、エスフルルビプロフェンの溶解性が低下するため。

 

問285(実務)
処方を受け取った薬剤師が行う内容として、優先度が高いのはどれか。2つ選びなさい。
1 ロコアテープの用法・用量について医師に照会する。
2 ロキソプロフェンナトリウム錠とロコアテープの併用について医師に照会する。
3 ノルフロキサシンとエスフルルビプロフェンの相互作用について医師に照会する。
4 妊娠の有無について患者に確認する。
5 ノルフロキサシン錠からロメフロキサシン塩酸塩錠への変更について医師に照会する。

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105回薬剤師国家試験 問284(薬剤) 解答解説

 

ロコアテープが従来のフルルビプロフェン貼付剤と比較して高い鎮痛効果を示す薬剤学的な理由として、選択肢4の「ハッカ油の配合で、エスフルルビプロフェンの経皮吸収性が高くなること」が考えられる。

 

ロコアテープはエスフルルビプロフェンとハッカ油を有効成分とする経皮吸収型NSAIDsである。
エスフルルビプロフェンはラセミ体であるフルルビプロフェンの活性本体(光学異性体:S体)であり、COX活性を阻害し、鎮痛及び抗炎症作用を示す。また、エスフルルビプロフェンはラセミ体のフルルビプロフェン及びR-(-)-フルルビプロフェンより高い皮膚透過性を示すと考えられている。
ロコアテープに含まれるハッカ油は吸収促進剤として配合されており、エスフルルビプロフェンの経皮吸収性を高めている。
ロコアテープは、エスフルルビプロフェンを膏体中に溶解状態で高濃度かつ均一に分散させ、経皮吸収性を高めることによって、標的組織への移行性を高めた製剤となっている。

 

 

105回薬剤師国家試験 問285(実務) 解答解説

 

105回薬剤師国家試験問284,285 ロコアテープが高い鎮痛効果を示す薬剤学的な理由

 

◆ 1について
1 × ロコアテープの用法・用量について医師に照会する。

 

ロコアテープは、添付文書によると、1日1回、患部に貼付するが、同時に2枚を超えて貼付しないこととされている。
設問のロコアテープの処方は、1日1回両膝に各1枚であり、1日2枚なので、添付文書の用法・用量通りである。

 

 

◆ 2について
2 〇 ロキソプロフェンナトリウム錠とロコアテープの併用について医師に照会する。

 

ロコアテープの添付文書において、用法及び用量に関連する注意として下記の記載がある。
「本剤2枚貼付時の全身曝露量がフルルビプロフェン経口剤の通常用量投与時と同程度に達することから、1日貼付枚数は2枚を超えないこと。本剤投与時は他の全身作用を期待する消炎鎮痛剤との併用は可能な限り避けることとし、やむを得ず併用する場合には、必要最小限の使用にとどめ、患者の状態に十分注意すること。」

 

 

◆ 3,5について
3 〇 ノルフロキサシンとエスフルルビプロフェンの相互作用について医師に照会する。

 

5 × ノルフロキサシン錠からロメフロキサシン塩酸塩錠への変更について医師に照会する。

 

ニューキノロン系抗菌剤と非ステロイド性消炎鎮痛剤を併用すると、
ニューキノロン系抗菌剤のGABA阻害作用が非ステロイド性消炎鎮痛剤により増強され、痙攣を起こすことがある。そのため、ニューキノロン系抗菌剤と非ステロイド性消炎鎮痛剤の併用は、薬物の組み合わせにより、禁忌であったり、併用注意であったりする。
エスフルルビプロフェン(ロコアテープ)は、ノルフロキサシン、ロメフロキサシン、プルリフロキサシン、エノキサシン水和物との併用は禁忌とされている。

 

 

◆ 4について
4 〇 妊娠の有無について患者に確認する。

 

炭疽、野兎病の場合を除き、ニューキノロン系抗菌薬は妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与禁忌である。
さらに、ロコアテープ(エスフルルビプロフェン・ハッカ油製剤)とロキソプロフェン錠は、妊娠後期の患者には投与禁忌である。

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