薬剤師国家試験過去問題集 DDSの総合問題

各薬物送達システム(DDS)の目的 103回薬剤師国家試験問179

103回薬剤師国家試験 問179
薬物とその効果等を向上させる目的及び目的を達成するために実用化されている薬物送達システム(DDS)の組合せとして、正しいのはどれか。2つ選びなさい。

 

103回薬剤師国家試験問179 薬物送達システム(DDS)の目的

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103回薬剤師国家試験 問179 解答解説

 

正解は3と4である。

 

103回薬剤師国家試験問179 薬物送達システム(DDS)の目的

 

◆ 1について
アルプロスタジル(プロスタグランジンE1)は、末梢循環改善薬の注射剤として使用され、リピッドマイクロスフェア製剤として実用化されている。
リピッドマイクロスフェアは、投与後にマクロファージなどの免疫細胞に貪食される性質があり、炎症部位、血管損傷部位、動脈硬化部位などへ集積する特性があるので、これらの部位に薬物を送達する受動的ターゲティングに利用される。

 

関連問題
リピッドマイクロスフェア製剤のアルプロスタジル注射液 102回問280,281

 

 

◆ 2について
チモロールマレイン酸塩は、緑内障・高眼圧症治療薬の点眼剤として使用され、持続性のゲル化点眼液として実用化されている。点眼液が眼表面でゲル化することにより、結膜嚢でのチモロールの滞留性が向上し、薬効が持続する。

 

関連問題
・チモプトールXE点眼液の持続性の機構 108回問276,277

 

・リズモンTG点眼液の持続性の機構 104回問177の3

 

 

◆ 3について
硝酸イソソルビドは、狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患の治療薬として多種多様な製品が販売されており、
その中の1として、虚血性心疾患の発作の予防を目的とした経皮吸収製剤がある。
経皮吸収製剤とは、薬物を皮膚に投与することにより、全身循環血に吸収させる製剤である。
経皮吸収製剤は次のような利点がある。
・長時間、製剤から徐々に薬物が放出されるため、薬物の血中濃度が一定に維持され、薬効が持続する。
・皮膚から直接全身循環に入るため、肝臓での初回通過効果を回避できる。
・副作用が現れた時、貼付剤を剥がせばすぐに薬物の放出を中断できる。
・経口投与で問題となる消化管への副作用を回避できる。
・貼るだけで投与できるので、小児や高齢者にも使いやすい。
・貼付されていることを見れば服薬確認できるので、服薬忘れや重複投与を防ぎやすい。

 

硝酸イソソルビドの経皮吸収製剤であるフランドルテープは、次のような特徴がある(以下、インタビューフォームより)。
「薬物放出システムとして、結晶レジボアシステムを採用している。このシステムは、硝酸イソソルビド分子を粘着剤層に溶解させるとともにその結晶を貯留層として分散・共存させ、皮膚に吸収された硝酸イソソルビド分子を順次結晶から補給することによって、粘着剤と皮膚接触表面の硝酸イソソルビド濃度を長時間一定に保つように設計されたものである。
フランドルテープは上記の製剤学的特性を有し、狭心症、心筋梗塞(急性期を除く)及びその他の虚血性心疾患に対し、24時間又は 48時間ごとの貼付でその有用性が確認されている。」

 

 

◆ 4について
ドキソルビシンはアントラサイクリン系抗がん剤であり、注射剤として投与される。
ドキシル注は、ポリエチレングリコール修飾リポソーム(PEG化リポソーム)の水相に、抗がん剤のドキソルビシン塩酸塩を封入した製剤である。
血中滞留性の高いPEG修飾リポソームに抗がん剤を封入して投与すると、EPR効果により、腫瘍組織に選択的に抗がん剤を集積させることができる。
これは、EPR効果を利用した受動的ターゲティングである。

 

関連問題
ドキシル注の特徴 105回問282,283

 

 

◆ 5について
プロポフォールは注射剤として投与され、全身麻酔の導入及び維持、または、集中治療における人工呼吸中の鎮静に用いられる。
プロポフォールの注射剤(ディプリバン注)は、脂溶性のプロポフォールを、卵黄レシチンで乳化した油滴に封入したリピッドマイクロスフェア製剤である(o/w型脂肪乳剤の乳濁性注射剤)。

 

関連問題
プロポフォール注射剤の製剤的特徴と取り扱い 104回問278,279

 

 

★ 他サイトさんの解説リンク
103回問179(e-RECさん)

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