薬剤師国家試験過去問題集 DDSの総合問題

薬物送達システム(DDS)に関する記述 89回薬剤師国家試験問174

89回薬剤師国家試験 問174
薬物送達システム(DDS)に関する記述のうち、正しいものはどれか。2つ選びなさい。

 

a プロスタグランジンE1誘導体を含有する脂肪乳剤は、動脈硬化病変部や炎症部に集積する性質がある。

 

b 硫酸モルヒネ徐放錠は、口腔内でモルヒネを徐々に放出し、食道上部の疼痛緩和に用いられる。

 

c リュープロレリン酢酸塩を含有した乳酸−グリコール酸共重合体マイクロスフェアーは、皮下に投与すると長期にわたってリュープロレリン酢酸塩を放出し、性ホルモン分泌を抑制する。

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89回薬剤師国家試験 問174 解答解説

 

◆ aについて
a 〇 プロスタグランジンE1誘導体を含有する脂肪乳剤は、動脈硬化病変部や炎症部に集積する性質がある。

 

脂肪乳剤は、リピッドマイクロスフェアとも呼ばれ、水中に植物油を界面活性剤のレシチンで乳化したo/w型エマルションである。
アルプロスタジル注射液は、脂溶性のアルプロスタジル(プロスタグランジンE1)が大豆油滴内に封入され、卵黄レシチンで水中に乳化されたリピッドマイクロスフェア製剤である。
リピッドマイクロスフェアは、投与後にマクロファージなどの免疫細胞に貪食される性質があり、炎症部位、血管損傷部位、動脈硬化部位などへ集積する特性があるので、これらの部位に薬物を送達する受動的ターゲティングに利用される。

 

関連問題
リピッドマイクロスフェア製剤のアルプロスタジル注射液 102回問280,281

 

 

◆ bについて
b × 硫酸モルヒネ徐放錠は、口腔内でモルヒネを徐々に放出し、食道上部の疼痛緩和に用いられる。

 

硫酸モルヒネ徐放錠(MSコンチン錠)は、経口投与後、消化管内でモルヒネを徐々に放出する徐放性製剤であり、各種癌における鎮痛に用いられる。

 

 

◆ cについて
c 〇 リュープロレリン酢酸塩を含有した乳酸−グリコール酸共重合体マイクロスフェアーは、皮下に投与すると長期にわたってリュープロレリン酢酸塩を放出し、性ホルモン分泌を抑制する。

 

マイクロスフェアーとは、粒子径数μm〜数十μm程度の球状の担体(マイクロカプセル)であり、コントロールドリリースやターゲティングに用いられる。
生体内分解性高分子のポリ乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)を基剤とするマイクロカプセルに主薬を封入した持続性の注射剤が実用されている。
PLGAマイクロスフェアー製剤は、投与後、体内でPLGAが徐々に分解され、主薬が徐々に放出されるので、持続性の放出制御製剤となる。
PLGAマイクロスフェアー持続性注射として、リュープリン注(高活性LH-RH誘導体のリュープロレリン酢酸塩を主薬とする皮下注)があり、皮下に投与すると長期にわたってリュープロレリン酢酸塩を放出する(LH-RHとは黄体形成ホルモン放出ホルモンの略称)。
持続的にリュープロレリン酢酸塩が放出され続けると、投与直後一過性に下垂体−性腺系刺激作用(急性作用)がみられた後、下垂体においては性腺刺激ホルモンの産生・放出が低下する。更に、卵巣及び精巣の性腺刺激ホルモンに対する反応性が低下し、エストラジオール及びテストステロン産生能が低下する(慢性作用)。
リュープリン注は4週間に1度の注射で良い。

 

なお、リュープロレリン酢酸塩を主薬とし、マイクロカプセルの基剤を乳酸重合体とした持続性注射剤のリュープリンSRは12週間に1度の投与で良く、リュープリンPROは24週間に1度の投与で良い。

 

関連問題
リュープリンPRO注射用キット 106回問282,283

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