薬剤師国家試験過去問題集 ターゲティング

受動的ターゲティングを目的とする製剤 108回薬剤師国家試験問54

108回薬剤師国家試験 問54
受動的ターゲティングを目的とする製剤はどれか。1つ選びなさい。
1 乳酸・グリコール酸共重合体微粒子製剤
2 浸透圧ポンプ型製剤
3 ポリエチレングリコール修飾リポソーム製剤
4 抗体薬物複合体製剤
5 リザーバー型経皮吸収型製剤

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108回薬剤師国家試験 問54 解答解説

 

受動的ターゲティングとは、生体内の生理学的・解剖学的特性を受動的に利用するターゲティングである。
受動的ターゲティングを目的とする製剤は、
3のポリエチレングリコール修飾リポソーム製剤(PEG化リポソーム製剤)である。

 

リポソームとは、脂質二分子膜からなる閉鎖小胞であり、脂質膜には脂溶性薬物を含むことができ、中の水相には水溶性薬物を含むことができる担体である。
表面をポリエチレングリコール(PEG)で修飾されたリポソームは、親水性が高まり、抗原性が低下して細網内皮系への取り込みが抑制され、粒子サイズの拡大により腎排泄も抑制されるので、血中滞留性が向上している。なお、PEG化リポソームは、細網内皮系の細胞による貪食を回避することから、ステルスリポソームとも呼ばれる。
腫瘍細胞は正常組織に比べ、血管新生と血管透過性が亢進しており、
リンパ管が未発達なので、高分子の移行性と滞留性が高い。これをEPR効果と呼ぶ。
血中滞留性の高いPEG修飾リポソームに抗がん剤を封入して投与すると、EPR効果により、腫瘍組織に選択的に抗がん剤を集積させることができる。
これは、EPR効果を利用した受動的ターゲティングである。

 

なお、標的部位を特異的に認識できる抗体や糖タンパク質などを薬物に結合させて体内分布を制御するターゲティングを能動的ターゲティングという。
選択肢4の抗体薬物複合体製剤は、能動的ターゲティングを目的とする製剤である。

 

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