薬剤師国家試験過去問題集 ターゲティング

リポソームに関する記述 94回薬剤師国家試験問179

94回薬剤師国家試験 問179
リポソームに関する記述について、誤っているものはどれか。1つ選びなさい。

 

1 油相として大豆油を用い、レシチンを乳化剤に用いて乳化した o/w 型エマルションに分類される。

 

2 脂溶性、水溶性いずれの薬物に対してもキャリアーとして利用できる。

 

3 静脈内投与した場合には、肝臓や脾臓等の細網内皮系組織で貪食される。

 

4 血中滞留性の向上を目的として、ポリエチレングリコールによる表面修飾が利用される。

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94回薬剤師国家試験 問179 解答解説

 

◆ 1,2について
1 × 油相として大豆油を用い、レシチンを乳化剤に用いて乳化した o/w 型エマルションに分類される。

 

2 〇 脂溶性、水溶性いずれの薬物に対してもキャリアーとして利用できる。

 

リポソームとは、脂質二分子膜からなる閉鎖小胞であり、脂質膜には脂溶性薬物を含むことができ、中の水相には水溶性薬物を含むことができる担体である。

 

なお、1の記述中の「油相として大豆油を用い、レシチンを乳化剤に用いて乳化した o/w 型エマルションに分類される」のは、リピッドマイクロスフェアのことである。

 

リピッドマイクロスフェアの詳細は下記のリンク先を参照
リピッドマイクロスフェア製剤のアルプロスタジル注射液 102回問280,281

 

 

◆ 3,4について
3 〇 リポソームを静脈内投与した場合には、肝臓や脾臓等の細網内皮系組織で貪食される。

 

4 〇 リポソームの血中滞留性の向上を目的として、ポリエチレングリコールによる表面修飾が利用される。

 

ノーマルなリポソームは、静脈内投与すると肝臓や脾臓等の細網内皮系に貪食されやすい。
表面をポリエチレングリコール(PEG)で修飾されたリポソームは、親水性が高まり、抗原性が低下して細網内皮系への取り込みが抑制され、粒子サイズの拡大により腎排泄も抑制されるので、血中滞留性が向上している。なお、PEG化リポソームは、細網内皮系の細胞による貪食を回避することから、ステルスリポソームとも呼ばれる。
血中滞留性の高いポリエチレングリコール修飾リポソームは、
受動的ターゲティングを目的とする製剤に用いられる。

 

関連問題
・PEG化リポソームは受動的ターゲティング製剤? 108回問54

 

・リポソームの性質 98回問180

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