薬剤師国家試験過去問題集 製剤の種類と特性

日本薬局方製剤総則中の注射剤 86回薬剤師国家試験問180

86回薬剤師国家試験 問180
日本薬局方製剤総則中の注射剤に関する記述のうち、正しいものはどれか。

 

a 注射剤は、皮膚内又は皮膚若しくは粘膜を通して体内に直接適用する医薬品の溶液、懸濁液、乳濁液又は用時溶剤に溶解若しくは懸濁して用いるもので、無菌の製剤である。
b 非水性注射剤の溶剤には、通例、植物油又は動物油を用い、それらは鉱油試験法に適合する。
c 注射剤の不溶性微粒子試験法において、不溶性微粒子の限度は、水剤1 mL中の個数に換算するとき、10μm以上のものが20個以下で、かつ25μm以上のものが2個以下である。
d 注射剤の不溶性異物検査法第1法において、溶液である本剤の溶剤は、容器の外部を清浄にし、白色光源の直下、4000〜6000ルクスの明るさの位置で、肉眼で観察するとき、たやすく検出される不溶性異物を認めてはならない。

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86回薬剤師国家試験 問180 解答解説

 

◆ aについて
a 〇 注射剤は、皮膚内又は皮膚若しくは粘膜を通して体内に直接適用する医薬品の溶液、懸濁液、乳濁液又は用時溶剤に溶解若しくは懸濁して用いるもので、無菌の製剤である。

 

◆ bについて
b × 非水性注射剤の溶剤には、通例、植物油又は動物油を用い、それらは鉱油試験法に適合する。

 

非水性注射剤(油性注射剤)の溶剤には、通例、植物油を用い、
それは鉱油試験法に適合する。
注射剤の溶剤として動物油を用いることはできない。

 

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◆ cについて
c × 注射剤の不溶性微粒子試験法において、不溶性微粒子の限度は、水剤1 mL中の個数に換算するとき、10μm以上のものが20個以下で、かつ25μm以上のものが2個以下である。

 

注射剤の不溶性微粒子試験法の方法は2種あり,
第1法(光遮蔽粒子計数法)又は第2法(顕微鏡粒子計数法)で試験する.
第1法での試験を優先するが,場合によってはまず第1法で試験し,次に第2法で試験する必要がある.

 

適否の判定方法は下記の通り。
・第1法の判定方法
平均微粒子数が下記に規定する値のときは適合とする.規定する値を超えたときは,第2法で試験する.
A:表示量が100 mL以上の注射剤
1 mL当たり10 μm以上のもの25個以下,25 μm以上のもの3個以下.
B:表示量が100 mL未満の注射剤
容器当たり10 μm以上のもの6000個以下,25 μm以上のもの600個以下

 

・第2法の判定方法
平均微粒子数が下記に規定する値のときは適合とする.
A:表示量が100 mL以上の注射剤
1 mL当たり10 μm以上のもの12個以下,25 μm以上のもの2個以下.
B:表示量が100 mL未満の注射剤
容器当たり10 μm以上のもの3000個以下,25 μm以上のもの300個以下.

 

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◆ dについて
d × 注射剤の不溶性異物検査法第1法において、溶液である本剤の溶剤は、容器の外部を清浄にし、白色光源の直下、4000〜6000ルクスの明るさの位置で、肉眼で観察するとき、たやすく検出される不溶性異物を認めてはならない。

 

注射剤の不溶性異物検査法は、不溶性異物の有無を肉眼で観察する検査法である。
その判定方法は下記の通り。

 

1. 第1法
溶液,懸濁液又は乳濁液である注射剤,及び用時溶解又は用時懸濁して用いる注射剤の溶解液などはこの方法による.容器の外部を清浄にし,白色光源の直下,2000 〜 3750 lxの明るさの位置で,肉眼で白黒それぞれの色の背景において約5秒ずつ観察するとき,たやすく検出される不溶性異物を認めてはならない.ただし,プラスチック製水性注射剤容器を用いた注射剤にあっては,上部及び下部に白色光源を用いて8000〜 10000 lxの明るさの位置で,肉眼で観察するものとする.なお,観察しにくい場合は適宜観察時間を延長するものとする.

 

2. 第2法
用時溶解又は用時懸濁して用いる注射剤はこの方法による.容器の外部を清浄にし,異物が混入しないよう十分に注意して,添付された溶解液など若しくは注射用水を用いて溶解又は懸濁し,白色光源の直下,2000 〜 3750lxの明るさの位置で,肉眼で白黒それぞれの色の背景において約5秒ずつ観察するとき,明らかに認められる不溶性異物を含んではならない.なお,観察しにくい場合は適宜観察時間を延長するものとする.

 

関連問題
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