結石の構成成分の化学的性質 シュウ酸カルシウム等 薬剤師国家試験97回問207

第97回薬剤師国家試験 問207
尿路結石にはシュウ酸カルシウム結石のほかに、リン酸カルシウム結石、シスチン結石などがある。
結石の構成成分の化学的性質に関する記述の正誤を判定してみよう。

 

1 シュウ酸カルシウムを希硫酸に溶解させると、二酸化炭素を発生し分解する。

 

2 シュウ酸イオンは2 座配位子として金属に配位し、キレートを形成する。

 

3 日本薬局方のpH 測定法で規定されるリン酸塩pH 標準液のpH 値は、シュウ酸塩pH 標準液のpH 値よりも小さい。

 

4 シスチンを酸化するとシステインが生成する。

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第97回薬剤師国家試験 問207 解答

 

◆ 1について
1.× シュウ酸カルシウムを希硫酸に溶解させると、二酸化炭素を発生し分解する。
→ 〇 シュウ酸カルシウムを希硫酸に溶解させると、シュウ酸を生成し分解する。

 

遊離反応についての問いである。

 

・弱酸遊離反応
弱酸の塩+強酸 → 強酸の塩+弱酸

 

・弱塩基遊離反応
弱塩基の塩+強塩基 → 強塩基の塩+弱塩基

 

シュウ酸と硫酸とで酸としての強さを比較すると、相対的にシュウ酸が弱酸で硫酸が強酸となる。
よって、
シュウ酸カルシウム+希硫酸 → 硫酸カルシウム+シュウ酸 となる。

 

二酸化炭素が発生するのは、
炭酸の塩+強酸 → 強酸の塩+H2O+CO2 
という炭酸の遊離反応である。
遊離した炭酸(H2CO3)はH2OとCO2に分解する。

 

★参考外部サイトリンク
強酸・弱酸まとめ(理系ラボさん)

 

弱酸・弱塩基遊離反応(受験メモさん)

 

シュウ酸(wikipediaさん)

 

 

◆ 2について
2.〇 シュウ酸イオンは2座配位子として金属に配位し、キレートを形成する。

 

詳細は下記のリンク先を参照
シュウ酸イオンは2座配位子 97回207の2

 

 

◆ 3について
3.× 日本薬局方のpH 測定法で規定されるリン酸塩pH 標準液のpH 値は、シュウ酸塩pH 標準液のpH 値よりも小さい。
→ 〇 日本薬局方のpH 測定法で規定されるリン酸塩pH 標準液のpH 値は、シュウ酸塩pH 標準液のpH 値よりも大きい。

 

リン酸塩pH標準液のpHは、6.84(60℃)〜6.98(0℃)
シュウ酸塩pH標準液のpHは、1.67(0℃)〜1.73(60℃)

 

よって、シュウ酸塩pH標準液のpHの方が小さい。

 

★参考外部サイトリンク
pH測定標準液(HORIBAさん)

 

 

◆ 4について
4.× シスチンを酸化するとシステインが生成する。
→ 〇 シスチンを還元するとシステインが生成する。

 

詳細は下記のリンク先を参照
シスチンの還元でシステイン生成 97回207の4

 

★参考外部サイトリンク
酸化(wikipediaさん)

 

還元(wikipediaさん)

 

システイン(wikipediaさん)

 

シスチン(wikipediaさん)

 

 

★他サイトさんの解説へのリンク
97回問207(e-RECさん)

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