モントリオール議定書キガリ改正の規制対象となっている物質 111回薬剤師国家試験問24の解説
111回薬剤師国家試験 問24
オゾン層破壊作用はないが、地球温暖化の抑制を目的としてモントリオール議定書キガリ改正(注) の規制対象となっているのはどれか。1つ選びなさい。
(注)モントリオール議定書キガリ改正:オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書キガリ改正
1 ブロモフルオロカーボン
2 臭化メチル
3 クロロフルオロカーボン
4 ハイドロフルオロカーボン
5 ハイドロクロロフルオロカーボン
111回薬剤師国家試験 問 24 解答解説
オゾン層破壊作用はないが、地球温暖化の抑制を目的としてモントリオール議定書キガリ改正の規制対象となっているのは、選択肢4のハイドロフルオロカーボンです。

以下で解説します。
モントリオール議定書は、
もともとオゾン層を破壊する物質の生産・消費を規制する国際的な枠組みです
オゾン層破壊で重要なのは、成層圏で発生する塩素ラジカルや臭素ラジカルです。
ハイドロフルオロカーボンやハイドロクロロフルオロカーボンは塩素を含むため、
成層圏で分解されると塩素ラジカルを生じ、オゾンを連鎖的に分解します。
ブロモフルオロカーボンや臭化メチルは臭素を含むため、
分解されると臭素ラジカルを生じ、オゾン層を破壊します。
これらのオゾン層破壊物質は、
モントリオール議定書における代表的な規制対象物質です。
一方、ハイドロフルオロカーボン(HFC)は、
塩素や臭素を含まないためオゾン層破壊作用はありません。
しかし、強い温室効果をもつため、地球温暖化対策として、
2016年に採択されたモントリオール議定書キガリ改正により、
段階的削減の対象となりました。
なお、ハイドロフルオロカーボン(HFC)とは、
水素、フッ素、炭素を含む化合物の総称です。
以下にHFCの例を示します。

3 鉛
無機鉛の主な中毒症状は、中枢神経症状、腹痛、貧血、腎障害などがあります。
無機鉛中毒の貧血は、ヘム合成酵素が阻害されることによります。
特に、δ-アミノレブリン酸脱水酵素やフェロケラターゼなどが障害され、
ヘモグロビン合成が低下します。
無機鉛中毒の解毒・治療はキレート剤を投与して排泄を促すことです。
代表薬はエデト酸カルシウム二ナトリウム、ジメルカプロール(BAL)、
ペニシラミンなどです。
有機鉛は脂溶性が高いため、
有機鉛中毒では脳組織に移行したものが中枢神経障害が起こします。
有機鉛中毒に対する特異的な解毒薬はありません。
5 アニリン
アニリンは メトヘモグロビン血症を起こす代表的な化学物質です。
通常、ヘモグロビン中の鉄は Fe2+ で酸素と結合できます。
しかし、アニリンなどにより酸化されると Fe3+ となり、メトヘモグロビンになります。
メトヘモグロビンは酸素を運搬できないため、組織低酸素を起こします。
アニリンの中毒症状は、チアノーゼ、頭痛、めまい、息切れ、頻脈、意識障害などです。
酸素を投与してもチアノーゼが改善しにくい点が特徴です。
アニリン中毒の解毒薬は メチレンブルー(メチルチオニニウム塩化物水和物)です。
メチレンブルーは体内でロイコメチレンブルーとなり、メトヘモグロビンをヘモグロビンへ還元します。