薬剤師国家試験過去問題集 製剤化・製剤機械

単位操作と製剤機械 106回薬剤師国家試験問182

106回薬剤師国家試験 問182
単位操作と製剤機械に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 ジェットミルは、ジュール・トムソン効果により粉砕時の温度の上昇を抑えられるので、熱に不安定な化合物や低融点化合物の粉砕に適している。
2 旋回スクリュー型混合機は、本体容器が回転することにより、粉粒体の集合と分割を交互に繰り返すことで混合が進行する。
3 流動層造粒装置は、熱風気流中に吹き上げた粉末に結合剤を噴霧するので、装置内で圧密化を受けて重質な造粒物が得られる。
4 ロータリー型打錠機は、複数組の上下杵と臼を組み込むことができるので、大量生産に適している。
5 オーガ式のカプセル充てん装置は、瞬間的に薬物溶液をゼラチンで包み込めるので、シームレスカプセルを製することができる。

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106回薬剤師国家試験 問182 解答解説

 

◆ 1について
1 〇 ジェットミルは、ジュール・トムソン効果により粉砕時の温度の上昇を抑えられるので、熱に不安定な化合物や低融点化合物の粉砕に適している。

 

ジェットミルは、噴出する圧縮空気の気流により粒子を加速させて、粒子どうしあるいは粒子と容器壁との衝突により粒子を微細化する粉砕機である。
ジェットミルは、圧縮空気の膨張に伴い吸熱が起こり(ジュール・トムソン効果)、粉砕時の温度上昇が抑えられるので、熱に不安定な薬物や低融点化合物の粉砕にも用いられる。

 

単位操作と製剤機械 106回薬剤師国家試験問182

 

関連問題
噴出する圧縮空気の気流により粒子を微細化する粉砕機 101回問52

 

ジェットミルによる粉砕の原理 95回問177d

 

 

◆ 2について
2 × 旋回スクリュー型混合機は、本体容器が回転することにより、粉粒体の集合と分割を交互に繰り返すことで混合が進行する。

 

混合機には大きく分けて2つのタイプがある。
1つは混合容器自体が回転することにより、粉粒体の集合と分割を交互に繰り返して混合する容器回転型混合機である。
もう1つはリボンやスクリューなどの攪拌器具が容器内部に備え付けられている容器固定型混合機である。
容器回転型混合機としてV型混合機や二重円錐型混合機があり、
容器固定型混合機としてリボン型混合機やスクリュー型混合機がある。

 

単位操作と製剤機械 106回薬剤師国家試験問182

 

関連問題
V型混合機は容器回転型混合機 102回問176の2

 

 

◆ 3について
3 × 流動層造粒装置は、熱風気流中に吹き上げた粉末に結合剤を噴霧するので、装置内で圧密化を受けて重質な造粒物が得られる。

 

流動層造粒法で得られる造粒物は、不定形で密度が小さい。

 

流動層造粒法は、下からの熱風により吹き上げられて流動している原料粉体に上から結合剤溶液を噴霧し、
粒子同士が接触することで造粒物を得る方法である。
流動層造粒法では、不定形で密度の小さい造粒物が得られる。
なお、流動層造粒機は、同一装置内で混合,造粒,乾燥までできることが特徴であり、
コーティングまでできる機種もある。

 

関連問題
空気で吹き上げた原料粉体に結合液を噴霧して造粒する方法 97回問52

 

流動層造粒装置は、混合、造粒、乾燥を1つの装置内で行える 102回問176の1

 

 

◆ 4について
4 〇 ロータリー型打錠機は、複数組の上下杵と臼を組み込むことができるので、大量生産に適している。

 

関連問題
ロータリー型打錠機とエキセントリック型打錠機の違い 88回問173a

 

ロータリー型打錠機、エキセントリック型打錠機の錠剤の質量調整 95回問177a

 

 

◆ 5について
5 × オーガ式のカプセル充てん装置は、瞬間的に薬物溶液をゼラチンで包み込めるので、シームレスカプセルを製することができる。

 

5の記述は滴下法による軟カプセルの製造に関するものである。
滴下法は二重ノズル法と呼ばれ、内側のノズルから薬物を放出し、
外側のノズルからゼラチン等のカプセル剤皮を放出し、
それらを滴下・冷却・固化することで軟カプセル剤を作る方法である。
滴下法(二重ノズル法)では瞬間的に薬物溶液をカプセル剤皮で包み込めるので、
シームレスカプセル(つなぎめの無いカプセル)の軟カプセル剤を製することができる。

 

なお、オーガ式のカプセル充填装置は硬カプセルの製造機であり、
カプセルに原料粉末をスクリューで押し込んで充填する方式で硬カプセルを製造する装置である。

 

関連問題
滴下法(二重ノズル法)による軟カプセルの製造 97回問179の3

 

 

★ 他サイトさんの解説リンク
106回問182(e-RECさん)

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