エタノール中でヨウ化メチルと反応させたときに最も反応性が高い求核剤 108回薬剤師国家試験問103

108回薬剤師国家試験 問103
エタノール中でヨウ化メチルと反応させたときに最も反応性が高い求核剤はどれか。1つ選びなさい。

 

108回薬剤師国家試験問103 ヨウ化メチルと反応させたときに最も反応性が高い求核剤

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108回薬剤師国家試験 問103 解答解説

 

エタノール中、ヨウ化メチルと求核剤を反応させると、
ヨウ化メチルを基質として、ヨウ素と求核剤が置換するSN2反応(二分子求核置換反応)が起こる。
SN2反応については、下記のリンク先を参照
SN2反応 基質の構造と反応性 83回問7c

 

本問のSN2反応は下記のように進行する。

 

108回薬剤師国家試験問103 ヨウ化メチルと反応させたときに最も反応性が高い求核剤

 

本問では、このSN2反応の反応性を比較することになる。

 

まず、選択肢4のIについて、
Iが求核剤として反応した場合、
CH3I + I → CH3I + I
となり、出発物と生成物が同じになる。
よって、本問では、Iの反応性を比較することはできない。

 

求核反応では、求核剤の供与可能な電子対を持つ原子が、基質の反応中心となる原子と反応する。
これを踏まえ、求核剤の供与可能な電子対を持つ原子に着目し、求核反応の反応性を比較する。

 

◆ 供与可能な非共有電子対を持つ原子周辺の立体障害が大きいほど、求核反応の反応性は低くなる。
選択肢3の(CH3 CH23Nは3級アミンである。
3級アミンは供与可能な非共有電子対を有する窒素周辺の立体障害が大きく、
基質の反応中心原子に接近できないため、
ほとんど求核反応を起こさない。

 

◆ 同一周期の原子の求核性の比較では、電気陰性度の大きい原子ほど求核性は低くなる。
電子の最外殻が同じである同一周期の原子の求核性の比較では、
陽子の数が多く電気陰性度の大きい原子ほど、最外殻電子が原子核に引き付けられる力が強まり、最外殻電子の反応性が低下する。
よって、同一周期の原子同士の比較では、陽子の数が多く電気陰性度が大きいほど求核性は低くなる。
この観点から選択肢1と5の求核性を比較すると、

 

108回薬剤師国家試験問103 ヨウ化メチルと反応させたときに最も反応性が高い求核剤

 

O原子とF原子はいずれも第2周期の原子であり、
電気陰性度はF原子の方が大きいので、
5の方が求核性は低いと考えられる。

 

◆ 同族原子の求核性の比較では、原子番号が大きいほど求核性は高い。
原子半径が大きくなるほど、最外殻電子と原子核の距離が大きくなり、最外殻電子が原子核に引き付けられる力が弱まり、最外殻電子の反応性が高まる。
よって、同族原子の比較では、原子番号が大きいほど求核性は高くなる。

 

この観点から選択肢1と2の求核性を比較すると、

 

108回薬剤師国家試験問103 ヨウ化メチルと反応させたときに最も反応性が高い求核剤

 

O原子とS原子はいずれも16族であり、
原子番号はS原子の方が大きいので、
2の方が求核性は高いと考えられる。

 

以上より、
ヨウ化メチルを基質とするSN2反応について、
求核剤として最も反応性の高いのは選択肢2だと考えられる。

 

関連問題
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★他サイトさんの解説へのリンク
108回問103(e-RECさん)

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