108回薬剤師国家試験問10 マグネシウムに関する記述

108回薬剤師国家試験 問10
マグネシウムに関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選びなさい。
1 マグネシウムイオンは、カルシウムイオンに比べてイオン半径が小さい。
2 マグネシウムイオンは、ルイス酸としてATP のリン酸基と結合する。
3 空気中で金属マグネシウムが燃焼すると、酸化マグネシウムとなる。
4 マグネシウムは、典型元素である。
5 酸化マグネシウムは、酸性酸化物である。

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108回薬剤師国家試験 問10 解答解説

 

◆ 1について
1 〇 マグネシウムイオンは、カルシウムイオンに比べてイオン半径が小さい。

 

同族元素の比較では、原子番号が大きいほど原子半径は大きい。
マグネシウムとカルシウムはともに2族元素であり、
マグネシウムはカルシウムよりも原子番号が小さいので、
マグネシウムイオンは、カルシウムイオンに比べてイオン半径が小さい。

 

 

◆ 2について
2 〇 マグネシウムイオンは、ルイス酸としてATP のリン酸基と結合する。

 

ルイス酸とは電子対を受け取る物質のことであり、
金属イオンは空軌道を持つのでルイス酸となり得る。
マグネシウムイオンは、ルイス酸としてATP のリン酸基から電子対を受け取り、配位結合を形成する。
多くの酵素にはマグネシウムイオンが含まれ、ルイス酸触媒として機能する。

 

 

◆ 3について
3 〇 空気中で金属マグネシウムが燃焼すると、酸化マグネシウムとなる。

 

2Mg + O2 → 2MgO

 

 

◆ 4について
4 〇 マグネシウムは、典型元素である。

 

周期表の1,2族と12〜18族の元素を典型元素と呼び、
3〜11族の元素を遷移元素と呼ぶ。
マグネシウムは2族元素なので典型元素である。

 

 

◆ 5について
5 × 酸化マグネシウムは、酸性酸化物である。
→ 〇 酸化マグネシウムは、塩基性酸化物である。

 

塩基性酸化物とは、
水と反応して塩基を生じる酸化物、または、
酸と反応して塩を生じる酸化物である。

 

酸化マグネシウムは次に示す通り、
水と反応して塩基を生じ、酸と反応して塩を生じるので、
塩基性酸化物である。

 

MgO + H2O → Mg(OH) 2
MgO + 2HCl → MgCl 2 + H2O

 

金属の酸化物の多くは塩基性酸化物である。
ただし、金属の酸化物の中には両性酸化物のものもある(アルミニウム,亜鉛,鉛,スズの酸化物など)。

 

酸性酸化物とは、
水と反応して酸を生じる酸化物、または、
塩基と反応して塩を生じる酸化物である。
一般に、酸性酸化物となるのは非金属の酸化物であり、
金属の酸化物は酸性酸化物にはならない。

 

 

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