電荷移動による分子間相互作用 89回薬剤師国家試験問17c

第89回薬剤師国家試験 問17c

 

c 電荷移動による分子間相互作用は、電子を放出しやすい分子と電子を受け取りやすい分子との間で起こり、会合によってそれぞれの分子自体にはない新しい吸収帯が出現することを特徴とする。

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89回薬剤師国家試験 問17c 解答解説

 

c 〇 電荷移動による分子間相互作用は、電子を放出しやすい分子と電子を受け取りやすい分子との間で起こり、会合によってそれぞれの分子自体にはない新しい吸収帯が出現することを特徴とする。

 

分子間の電荷移動とは、電子供与体となる分子から電子受容体となる分子へ一部の電子が分子間で移動または非局在化することである。電荷移動はルイス塩基からルイス酸へ電子が供与されるルイス酸塩基反応と本質的には同じであり、似ている(電荷移動の方が弱い?)。
電子供与体(ドナー)の最高被占軌道から電子受容体(アクセプター)の最低空軌道へ電子が移動して形成される複合体を電荷移動錯体(またはドナー‐アクセプター錯体)と呼ぶ。電荷移動錯体の典型例として、金属イオンに非共有電子対が供与されて生成する金属錯体がある。

 

電荷移動錯体が形成されることで、新たな光吸収帯が出現する、電気伝導性が生ずるといったことが起こることがある。

 

でんぷんにヨウ素のアルコール溶液を加えると青紫色になるヨウ素でんぷん反応における色の変化は電荷移動錯体生成による新たな吸収帯の例である。
ヨウ素のアルコール溶液では、アルコールが−OH基を介してヨウ素に電子を供与することで電荷移動錯体が生成し褐色を帯びているが、ヨウ素のアルコール溶液をでんぷんに加えると、ヨウ素がでんぷんの網目構造に入り込み、でんぷんを構成するグルコース分子が−OH基を介してヨウ素に電子供与することで電荷移動錯体が生成し、新たな光の吸収帯が生じ、青紫色を呈色する。

 

★参考外部サイトリンク
疎水性相互作用と電荷移動錯体(薬学生のノートまとめさん)

 

電荷移動錯体(wikipediaさん)

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