95回薬剤師国家試験問16 二酸化硫黄の極性 ヨウ化水素と塩化水素の双極子モーメント

第95回薬剤師国家試験 問16
下記の記述の正誤を判定してみよう。

 

a 二酸化炭素は、無極性分子である。
b 二酸化硫黄は、極性分子である。
c 1,2−ジクロロベンゼンの双極子モーメントは、ゼロである。
d ヨウ化水素の双極子モーメントは、塩化水素の双極子モーメントより大きい。

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第95回薬剤師国家試験 問16 解答解説

 

◆ aについて
a 〇 二酸化炭素は、無極性分子である。

 

CO2は、個別のC=Oには結合双極子モーメントがあるが、分子がO=C=Oという2つの直線型の構造をとっており、2つのC=Oが互いに反対方向へ伸びているため、2つのC=Oの結合双極子モーメントは打ち消しあい、分子全体では双極子モーメントが無くなるため、CO2は無極性分子である。

 

95回薬剤師国家試験問16 二酸化硫黄の極性 ヨウ化水素と塩化水素の双極子モーメント

 

★参考外部サイトリンク
双極子モーメント(日本薬学会さん)

 

 

双極子とは(技術情報館SEKIGINさん)

 

電気陰性度の大きさと分子の極性(高校化学と生物の要点と勉強法さん)

 

 

◆ bについて
b 〇 二酸化硫黄は、極性分子である。
SO2は構造が折れ線型であるため、2つのS=Oの結合双極子モーメントは合成され、分子全体の双極子モーメントとなる。よって、二酸化硫黄は極性分子である。

 

95回薬剤師国家試験問16 二酸化硫黄の極性 ヨウ化水素と塩化水素の双極子モーメント

 

★参考外部サイトリンク
二酸化硫黄(wikipediaさん)

 

 

◆ cについて
c × 1,2−ジクロロベンゼンの双極子モーメントは、ゼロである。

 

1,2‐ジクロロベンゼンでは、2つのC−Clの結合双極子モーメントが生じるが、それらが伸びる方向から2つの結合双極子モーメントは合成されるため、1,2‐ジクロロベンゼンは分子全体として双極子モーメントを有する。

 

95回薬剤師国家試験問16 二酸化硫黄の極性 ヨウ化水素と塩化水素の双極子モーメント

 

なお、1,4‐ジクロロベンゼン(パラジクロロベンゼン)は2つのC−Clの結合双極子モーメントが互いに逆向きの方向へ伸びるので、互いに打ち消しあい、分子全体としての双極子モーメントは無くなる。

 

95回薬剤師国家試験問16 二酸化硫黄の極性 ヨウ化水素と塩化水素の双極子モーメント

 

★参考外部サイトリンク
1,2-ジクロロベンゼン(wikipediaさん)

 

パラジクロロベンゼン(wikipediaさん)

 

 

◆ dについて
d × ヨウ化水素の双極子モーメントは、塩化水素の双極子モーメントより大きい。
→ 〇 ヨウ化水素(HI)の双極子モーメントは、塩化水素(HCl)の双極子モーメントより小さい。

 

電気陰性度は一般に周期表において右上にある原子ほど大きくなる。
周期表において、ヨウ素原子は同じ17族の塩素原子の下に位置するので、ヨウ素原子の電気陰性度は塩素原子よりも小さい。よって、HIの双極子モーメントはHClの双極子モーメントよりも小さい。

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