高分子の構造と性質に関する記述 103回薬剤師国家試験問176
103回薬剤師国家試験 問176
高分子の構造と性質に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 合成高分子は単量体の重合反応によって合成されるため、一般に分子量が均一である。
2 分子量が均一なあるタンパク質が溶媒中で会合することなく分散しているとき、その数平均分子量と質量平均分子量は等しい。
3 高分子の物性は、単量体が同じであれば、その分子鎖の長さによらず同一である。
4 良溶媒中の高分子は、分子が伸びた形状をとりやすくなるため、溶液の粘度は高くなる。
5 核酸が形成する二重らせん構造は、分子鎖内の水素結合によって形成されるため、二次構造に相当する。
103回薬剤師国家試験 問176 解答解説
◆ 1について
1 × 合成高分子は単量体の重合反応によって合成されるため、一般に分子量が均一である。
一般に、天然高分子の分子量は均一であるが、
合成高分子は重合度が不均一であるため分子量が不均一である。
関連問題
天然高分子及び合成高分子の分子量 102回問173の1
◆ 2について
2 〇 分子量が均一なあるタンパク質が溶媒中で会合することなく分散しているとき、その数平均分子量と質量平均分子量は等しい。
高分子は様々な分子量を持つ混合物であるため、高分子の分子量は平均分子量として表され、数平均分子量と質量平均分子量が定義されている。
一般に、質量平均分子量>数平均分子量 であることが多い。
ただし、分子量が均一なあるタンパク質が溶媒中で会合することなく分散しているとき、その数平均分子量と質量平均分子量は等しくなる。
◆ 3について
3 × 高分子の物性は、単量体が同じであれば、その分子鎖の長さによらず同一である。
高分子は、構成原料となる単量体が同じであっても、
その分子鎖の長さや形状が異なると、
その物性が異なる。
◆ 4について
4 〇 良溶媒中の高分子は、分子が伸びた形状をとりやすくなるため、溶液の粘度は高くなる。
高分子と相性の良い溶媒を良溶媒と呼び、相性の悪い溶媒を貧溶媒と呼ぶ。
線状高分子は、良溶媒中では溶媒分子と強く結合して伸びた形となり、大きく広がるため溶液の粘度は高くなる。
◆ 5について
5 × 核酸が形成する二重らせん構造は、分子鎖内の水素結合によって形成されるため、二次構造に相当する。
核酸の二重らせん構造は、二本の分子鎖間の塩基対の水素結合によって形成されるため、三次構造に相当する。
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