高分子及びその溶液に関する記述 100回薬剤師国家試験問175

100回薬剤師国家試験 問175
高分子及びその溶液に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 線状高分子は、良溶媒中で収縮してコイル形状となる。
2 マクロゴール20000(分子量20,000のポリエチレングリコール)は、室温で水に不溶である。
3 毛細管粘度計は、非ニュートン流体の粘度測定に適する。
4 高分子溶液の極限粘度から、高分子の平均分子量を求めることができる。
5 Voigt 粘弾性の力学的モデルでは、応力一定のとき、ひずみは時間と共に増大し、一定の値に収束する。

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100回薬剤師国家試験 問175 解答解説

 

◆ 1について
1 × 線状高分子は、良溶媒中で収縮してコイル形状となる。

 

高分子と相性の良い溶媒を良溶媒と呼び、相性の悪い溶媒を貧溶媒と呼ぶ。
線状高分子は、良溶媒中では溶媒分子と強く結合して伸びた形となり、大きく広がるため溶液の粘度は高くなる。
一方、貧溶媒中では溶媒分子との接触を避けようとして高分子同士が集まり、収縮した形となるため溶液の粘度は低くなる。

 

関連問題
良溶媒中の高分子の形状と溶液の粘度 103回問176の4

 

 

◆ 2について
2 × マクロゴール20000(分子量20,000のポリエチレングリコール)は、室温で水に不溶である。

 

マクロゴールとはポリエチレングリコール(PEG)のことである。
マクロゴールは分子量に関わらず水に可溶である。

 

 

◆ 3について
3 × 毛細管粘度計は、非ニュートン流体の粘度測定に適する。
→ 〇 毛細管粘度計は、ニュートン流体の粘度測定に適する。

 

ウベローデ型粘度計,オストワルド型粘度計などの毛細管粘度計は、ニュートン流体の粘度測定に用いられるが、非ニュートン流体の粘度測定には用いられない。
なお、回転粘度計はニュートン流体と非ニュートン流体の粘度測定に用いられる。

 

関連問題
回転粘度計が適応される流体 95回問17d

 

 

◆ 4について
4 〇 高分子溶液の極限粘度から、高分子の平均分子量を求めることができる。

 

高分子の溶液について、
溶液の極限粘度[η]と高分子の分子量Mの関係式として、
次のマーク−ホウインクの式がある。
[η] = k・Mα
kとαは高分子や溶媒の種類,温度によって決まる定数である。
上式より、極限粘度から高分子の分子量を求めることができる。

 

極限粘度については下記のリンク先を参照
高分子溶液の極限粘度 106回問50

 

 

◆ 5について
5 〇 Voigt 粘弾性の力学的モデルでは、応力一定のとき、ひずみは時間と共に増大し、一定の値に収束する。

 

フォークト(Voigt)モデルでは、一定の応力をかけ続けると時間経過とともにひずみが徐々に増加する現象が見られ、これをクリープと呼ぶ。

 

関連問題
粘弾性体のクリープと応力緩和 105回問50

 

 

★ 他サイトさんの解説リンク
100回問175(e-RECさん)

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