高分子化合物の希薄水溶液 82回薬剤師国家試験問31abd

82回薬剤師国家試験 問31
高分子化合物の希薄水溶液に関する次の記述の正誤について、正しいものはどれか。
a 溶液の浸透圧は、濃度の上昇とともに低下する。
b 溶液の粘度は、濃度が上昇しても変化しない。
d 平均分子量は、溶液の粘度測定からも求められる。

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82回薬剤師国家試験 問31 解答解説

 

◆ aについて
a × 溶液の浸透圧は、濃度の上昇とともに低下する。
→ 〇 溶液の浸透圧は、濃度の上昇とともに上昇する。

 

ファントホッフの式によると、
不揮発性溶質の希薄溶液の浸透圧Π(パイ)は下記のように表される。

 

Π = i・ c・R・T
i:ファントホッフ係数 c:モル濃度
R:気体定数 T:絶対温度

 

ファントホッフ係数(i)とは、
溶質の解離や会合による粒子数の増減を考慮するための係数である。
上式によると、不揮発性溶質の希薄溶液の浸透圧は、
溶質の濃度と絶対温度に比例する。

 

 

◆ bについて
b × 溶液の粘度は、濃度が上昇しても変化しない。
→ 〇 溶液の粘度は、濃度が上昇すると大きくなる。

 

高分子溶液の粘度は、濃度上昇とともに指数関数的に上昇する。

 

 

◆ dについて
d 〇 平均分子量は、溶液の粘度測定からも求められる。

 

高分子の溶液について、
溶液の極限粘度[η]と高分子の分子量Mの関係式として、
次のマーク−ホウインクの式がある。
[η] = k・Mα
kとαは高分子や溶媒の種類,温度によって決まる定数である。
上式より、極限粘度から高分子の分子量を求めることができる。

 

極限粘度については下記のリンク先を参照
高分子溶液の極限粘度 106回問50

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