吸収促進剤の添加により水溶性薬物の吸収を改善した薬剤 107回薬剤師国家試験問55
107回薬剤師国家試験 問55
吸収促進剤の添加により水溶性薬物の吸収を改善した薬剤はどれか。1つ選びなさい。
1 バラシクロビル錠
2 セフチゾキシムナトリウム坐剤
3 イトラコナゾール内用液
4 シクロスポリン内用液
5 カンデサルタン シレキセチル錠
107回薬剤師国家試験 問55 解答解説
吸収促進剤の添加により水溶性薬物の吸収を改善した薬剤は、
2のセフチゾキシムナトリウム坐剤である。
セフチゾキシムナトリウム坐剤(エポセリン坐剤)は、吸収促進剤としてカプリン酸ナトリウムを添加することにより、水溶性のセフチゾキシムナトリウムの吸収を改善した薬剤である。
カプリン酸ナトリウムの薬物の吸収促進の機構として、細胞を収縮させて細胞間隙を広げる機構、もしくは、細胞膜の動きに乱れを生じ、物質の膜透過性を高める機構が提唱されている。
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以下、他の選択肢について
1のバラシクロビルは、アシクロビルのバリンエステルとすることで、小腸のペプチドトランスポーターを介して吸収されるようになり、経口吸収性が高まることを意図した薬剤である。
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3のイトラコナゾール内用液(イトリゾール内用液)は、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HP-β-CyD)を溶解補助剤として添加し、吸収を改善した製剤である。
水に難溶性のイトリコナゾールを、HP-β-CyDの包接化合物とすることで水溶性を高め、吸収を改善している。
4のシクロスポリン内用液の1種のネオーラル内用液は、
投与前は油性溶液であるが、投与後に消化管内で水と混合されると、
添加されていた界面活性剤がミセルを形成し、その内部に脂溶性のシクロスポリンを含む油滴が取り込まれる。
このようにネオーラルは、投与後、消化液中で自発的に薬剤の成分だけでも微細な油滴を形成でき、o/w型エマルションとなるよう設計されていることから、自己乳化型マイクロエマルション製剤と呼ばれる。
これにより、シクロスポリンの消化管からの吸収を改善し、また、吸収に対する胆汁酸分泌量や食事の影響が小さくなっている。
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5のカンデサルタン シレキセチル錠は、
カンデサルタンのカルボン酸部分をシレキセチル基のエステルとしたプロドラッグであり、
脂溶性を向上させ、消化管からの吸収を改善した薬剤である。
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