カンデサルタンシレキセチルの構造と性質 100回薬剤師国家試験問106
100回薬剤師国家試験 問106
カンデサルタンシレキセチルに関する記述のうち誤っているのはどれか。2つ選びなさい。
1 ベンゾイミダゾール骨格をもつ。
2 テトラゾリル基は、カルボキシ基の生物学的等価体とみなされる。
3 シレキセチルはステムである。
4 経口投与後生じる活性代謝物(カンデサルタン)には不斉炭素原子が存在しない。
5 ビフェニル基は親水性を示す。
100回薬剤師国家試験 問106 解答解説
◆ 1について
1 〇 ベンゾイミダゾール骨格をもつ。
ベンゼンとイミダゾールが縮合した構造がベンゾイミダゾールである。
カンデサルタンシレキセチルは、下記の通りベンゾイミダゾール骨格を持つ。
◆ 2について
2 〇 テトラゾリル基は、カルボキシ基の生物学的等価体(バイオアイソスター)とみなされる。
詳細は下記のリンク先を参照
カルボキシ基のバイオアイソスター 106回問105
◆ 3について
3 × シレキセチルはステムである。
→ ○ サルタンはステムである。
医薬品のステムとは、医薬品の一般名に付けられる、構造・標的分子・薬理作用など何らかの共通性を示す語幹である。
設問のカンデサルタンシレキセチルのステムは“サルタン”であり、“サルタン”はその医薬品がアンギオテンシンU受容体拮抗薬であることを示す。
◆ 4について
4 〇 経口投与後生じる活性代謝物(カンデサルタン)には不斉炭素原子が存在しない。
カンデサルタンシレキセチル(ブロプレス)はプロドラッグであり、経口投与後にエステル結合が小腸のカルボキシエステラーゼで加水分解され、活性代謝物のカンデサルタンを生成する。
カンデサルタンシレキセチルには不斉炭素があるが、カンデサルタンには不斉炭素は無い。
カンデサルタンシレキセチルは、カンデサルタンのカルボン酸部分をシレキセチル基のエステルとすることで、脂溶性が高まり、経口投与による消化管からの吸収性が向上している。
◆ 5について
5 × ビフェニル基は親水性を示す。
→ 〇 ビフェニル基は疎水性を示す。
★ 捕捉:アンギオテンシンU受容体1拮抗薬(ARB)の基本構造
アンギオテンシンU受容体1拮抗薬(ARB)の基本構造として、
ビフェニルテトラゾール基とイミダゾール基がつながった構造が挙げられる。
例として、オルメサルタンメドキソミルの構造を示す。
★他サイトさんの解説へのリンク
第100回問106(e-RECさん)