アザチオプリン プロドラッグの代謝,薬効,確認試験 101回薬剤師国家試験問106
101回薬剤師国家試験 問106
プロドラッグAに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 プリン環をもつ。
2 確認試験では、希塩酸中亜鉛粉末で還元し、芳香族第一アミン(芳香族第一級アミン)の定性反応を利用できる。
3 生体内でエステラーゼによって加水分解されて薬効を示す。
4 生体内において、aの位置で切断されて薬効を示す。
5 代謝された後、主にシトシンリボヌクレオチドの生合成を阻害する。
101回薬剤師国家試験 問106 解答解説
◆ 1について
1 〇 プリン環をもつ。
◆ 2について
2 〇 確認試験では、希塩酸中亜鉛粉末で還元し、芳香族第一アミン(芳香族第一級アミン)の定性反応を利用できる。
下記のリンク先を参照
アザチオプリンの確認試験 101回問106の2
◆ 3,4,5について
プロドラッグAはアザチオプリン(イムラン,アザニン)であり、体内でグルタチオン-S-トランスフェラーゼにより下記の結合が切断されて6−メルカプトプリン(6−MP)となり薬効を発揮する。
3 × 生体内でエステラーゼによって加水分解されて薬効を示す。
アザチオプリンから6−メルカプトプリンへの変換はエステル結合の加水分解ではない。
4 × 生体内において、aの位置で切断されて薬効を示す。
アザチオプリンは生体内で下記の赤点線の位置で切断され、
6−メルカプトプリンとなって薬効を示す。
5 × 代謝された後、主にシトシンリボヌクレオチドの生合成を阻害する。
アザチオプリン(イムラン,アザニン)が代謝され生成する6−メルカプトプリンは、さらにチオイノシン酸(TIMP)、6-チオグアニンヌクレオチド(6-TGN)などに代謝された後、プリンヌクレオチドであるアデニンリボヌクレオチド,グアニンリボヌクレオチドの生合成を阻害する、または、DNAに取り込まれる。
このようにして核酸合成を阻害することにより細胞増殖を抑制,抗体産生を抑制し、免疫抑制作用をあらわす。
アザチオプリン(イムラン,アザニン)の添付文書上の効能又は効果は下記の通り
1.下記の臓器移植における拒絶反応の抑制
腎移植、肝移植、心移植、肺移植
2.ステロイド依存性のクローン病の寛解導入及び寛解維持並びにステロイド依存性の潰瘍性大腸炎の寛解維持
3.治療抵抗性の下記リウマチ性疾患
全身性血管炎(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、結節性多発動脈炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、高安動脈炎等)、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性筋炎、皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病、及び難治性リウマチ性疾患
4.自己免疫性肝炎
アザチオプリン,6-メルカプトプリンとキサンチンオキシダーゼ阻害作用を有する薬物との相互作用については下記のリンク先を参照
アザチオプリン,メルカプトプリンとキサンチンオキシダーゼ阻害薬との相互作用
★他サイトさんの解説へのリンク
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