プラスグレルの生体内の代謝,立体,薬理作用 第104回薬剤師国家試験問209

第104回薬剤師国家試験 問209
プラスグレルは生体内の代謝により活性代謝物Cに変換されて効果を発揮するプロドラッグである。以下の記述の正誤を判定してみよう。

 

プラスグレルは生体内の代謝により活性代謝物Cに変換 第104回薬剤師国家試験問209

 

1 プラスグレルはチエノピリジン系医薬品である。

 

2 プラスグレルから代謝物Aへの変換にはプロテアーゼの作用が必須である。

 

3 代謝物Aと代謝物Bとは互変異性体の関係にある。

 

4 代謝物Bにはジアステレオマーが存在する。

 

5 活性代謝物Cは血小板の標的タンパク質と共有結合する。

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第104回薬剤師国家試験 問209 解答解説

 

◆ 1について
1 ○ プラスグレルはチエノピリジン系医薬品である。

 

詳細は下記のリンク先を参照
104回問209の1

 

 

◆ 2について

 

2 × プラスグレルから代謝物Aへの変換にはプロテアーゼの作用が必須である。
→ ○ プラスグレルから代謝物Aへの変換にはエステラーゼの作用が必須である。

 

下記の通り、プラスグレルから代謝物Aへの変換は、エステル結合の加水分解であるので、
エステラーゼが作用すると考えられる。
エステラーゼとは、エステル結合を加水分解する酵素である。

 

プラスグレルは生体内の代謝により活性代謝物Cに変換 第104回薬剤師国家試験問209

 

 

なお、プロテアーゼとは、ペプチド結合を加水分解する酵素である。

 

 

◆ 3について
3 ○ 代謝物Aと代謝物Bとは互変異性体の関係にある。

 

AとBはケト−エノール互変異性体の関係にある。

 

詳細は下記のリンク先を参照
104回問209の3

 

 

◆ 4について
4 ○ 代謝物Bにはジアステレオマーが存在する。

 

詳細は下記のリンク先を参照
104回問209の4

 

 

◆ 5について
5 ○ 活性代謝物Cは血小板の標的タンパク質と共有結合する。

 

プラスグレルの代謝物Bは、代謝酵素のCYPの触媒により、チオエステル結合の分解による開環反応で、活性代謝物Cに変換される。

 

プラスグレルは生体内の代謝により活性代謝物Cに変換 第104回薬剤師国家試験問209

 

チオール(−SH)を有する活性代謝物Cは、血小板膜のADP受容体P2Y12のシステイン残基のチオール(−SH)とジスルフィド結合を形成する。
ジスルフィド結合は共有結合なので、血小板膜のADP受容体P2Y12は不可逆的に阻害されることになる。
血小板膜のADP受容体P2Y12が阻害されることで、血小板凝集は抑制される。

 

プラスグレルは生体内の代謝により活性代謝物Cに変換 第104回薬剤師国家試験問209

 

チエノピリジン系抗血小板薬のチクロピジン(パナルジン)、クロピドグレル(プラビックス)、プラスグレル(エフィエント)は、血小板膜のADP受容体P2Y12を“不可逆的”に阻害し、血小板のアデニル酸シクラーゼ活性を増強し、cAMP産生を高め、血小板凝集能・放出能を抑制する。

 

プラスグレルは生体内の代謝により活性代謝物Cに変換 第104回薬剤師国家試験問209

 

プラスグレルは生体内の代謝により活性代謝物Cに変換 第104回薬剤師国家試験問209

 

プラスグレルは生体内の代謝により活性代謝物Cに変換 第104回薬剤師国家試験問209

 

ちなみに、クロピドグレル(プラビックス)は立体異性体のうちのS体のみだが、プラスグレル(エフィエント)はラセミ体である。

 

 

下に示す、チカグレロル(ブリリンタ)はチエノピリジン系ではないが、血小板のADP受容体P2Y12を“可逆的に”阻害し、血小板凝集を阻害する。

 

プラスグレルは生体内の代謝により活性代謝物Cに変換 第104回薬剤師国家試験問209

 

チカグレロル(ブリリンタ)はチエノピリジン系と異なりプロドラッグではなく、代謝を受けないそのままの構造で直接的に作用するので、理論的に代謝酵素による個人差は生じない、効果発現が比較的に早いことが考えられる。
さらに、チエノピリジン系はADP受容体P2Y12の不可逆阻害であるのに対し、チカグレロルは可逆的阻害であるため、薬効の消失が比較的に早いと考えられる。

 

★他サイトさんの解説へのリンク
第104回問208,209(e-RECさん)

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