オピオイド受容体を標的とする鎮痛薬 100回薬剤師国家試験問211改題
100回薬剤師国家試験 問211改題
オピオイド受容体を標的とする鎮痛薬はどれか。2つ選びなさい。
100回薬剤師国家試験 問211改題 解答解説
オピオイド受容体に作用する鎮痛薬は、2のペンタゾシン(ソセゴン,ペンタジン)と5のペチジン(オピスタン)である。
内因性オピオイドペプチドのN末端のチロシンは、下記のような構造的特徴を有する。
このことから、オピオイド受容体を標的とする薬物のファーマコフォアは、
@ 塩基性窒素
A 塩基性窒素から炭素数2,3個離れたベンゼン環
B フェノール性ヒドロキシ基(または代謝されてフェノール性ヒドロキシ基を生じる構造)
が存在し、内因性オピオイドペプチドのN末端のチロシンと同様の空間配置を取れることである。ただし、オピオイドにはフェノール性ヒドロキシ基が無いものもある。
本問では、モルヒネの構造を参考に正解を導き出せる。
立体構造も見ることがポイントである。
2のペンタゾシン(ソセゴン、ペンタジン)は、オピオイドのファーマコフォアを有する。
5のペチジンは、フェノール性OHは無いが、構造中の塩基性窒素およびベンゼン環は、モルヒネの4,5エポキシモルヒナン骨格の17位窒素およびA環と空間的配置が同様なので、オピオイド受容体に作用して鎮痛活性を示す。
フェンタニルも、チロシンのような構造はないが、構造中の塩基性窒素およびベンゼン環は、モルヒネの4,5エポキシモルヒナン骨格の17位窒素およびA環と空間的配置が同様なので、オピオイド受容体に作用して鎮痛活性を示す。
1は平面構造の骨格はモルヒネに似ている。
しかし、モルヒネと1とでは立体的配置が異なる。
よって、1はオピオイド受容体を標的とする鎮痛薬ではないと考えられる。
なお、1はデキストロメトルファン(メジコン)であり、鎮咳薬として用いられており、延髄にある咳中枢に作用し,咳反射を抑制することにより鎮咳作用を示す。この鎮咳作用はオピオイド受容体とは異なる部位に対する作用で発揮されると考えられている。また、デキストロメトルファンはNMDA受容体拮抗作用を持つと考えられている。
4はベンゾジアゼピン系抗不安薬のロラゼパム(ワイパックス)である。
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第100回問210、211(e-RECさん)