非ステロイド性抗炎症薬の化学 109回薬剤師国家試験問105
109回薬剤師国家試験 問105
非ステロイド性抗炎症薬A〜Eに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 A以外は不斉中心をもたない。
2 Bはフェニル酢酸系の抗炎症薬である。
3 Cには環状スルホンアミド構造がある。
4 D以外は酸性官能基をもつ。
5 Eにはインドール骨格がある。
109回薬剤師国家試験 問105 解答解説
◆ 1について
1 × A以外は不斉中心をもたない。
→ 〇 A以外にEも不斉中心をもつ。
Aは、フェニルプロピオン酸系の抗炎症薬であり、
カルボン酸のα位(下記の*)が不斉中心となる。
Eは、下記の*の硫黄が不斉中心である。
R1−S(=O)−R2の構造をスルホキシドと呼ぶ。
スルホキシドの硫黄原子は不斉中心になり得る。
詳細は下記のリンク先を参照
硫黄原子上の不斉中心 100回問207の1
◆ 2について
2 × Bはフェニル酢酸系の抗炎症薬である。
→ 〇 Bはフェナム酸系の抗炎症薬である。
Bは、以下に示す通り、フェナム酸構造を含むので、
フェナム酸系の抗炎症薬である。
なお、フェニル酢酸系の抗炎症薬は、下記のように、
フェニル酢酸構造を含む。
◆ 3について
3 ○ Cには環状スルホンアミド構造がある。
下記のCの緑枠で囲まれた、環状スルホンアミドとエノールを併せ持つ構造を有する抗炎症薬を、オキシカム系抗炎症薬という。
◆ 4について
4 ○ D以外は酸性官能基をもつ。
A,B,Eは、酸性官能基としてカルボキシル基を有する。
Cは、下記の青枠で示すエノールとカルボニルが隣接する構造を有する。
この構造は、ビニローグカルボン酸と呼ばれ、酸性を示す。
Dは、塩基性の非ステロイド性抗炎症薬として有名なチアラミド(ソランタール)の構造であり、
下記の矢印で示す窒素が塩基性を示す。
◆ 5について
5 × Eにはインドール骨格がある。
→ ○ Eにはインドール骨格はない。
インドール骨格を含む抗炎症薬として、
インドール酢酸系抗炎症薬のインドメタシンがある。
なお、Eは、インドール酢酸系抗炎症薬の関連化合物のスリンダク(クリノリル)であるが、日本では販売中止になっている。
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109回問104(e-RECさん)