アプレピタントとホスアプレピタントの違い 105回薬剤師国家試験問208
105回薬剤師国家試験 問208
65歳男性。がんで入院中。当初、医療チームの方針として、アプレピタントカプセルを制吐剤として投与することが計画されていたが、口内炎が悪化したため、ホスアプレピタントの点滴静注への変更について再度検討することとなった。
問208
処方の再検討に際して、薬剤師が医療チームに行う説明として適切でないのはどれか。1つ選びなさい。
1 ホスアプレピタントは、アプレピタントの経口投与が困難な患者さんのために開発された薬剤です。
2 ホスアプレピタントは、アプレピタントの水溶性を向上させたプロドラッグです。
3 ホスアプレピタントは、アプレピタントの窒素原子にリン酸基が導入されたことにより、血液脳関門を通過しやすくなっています。
4 ホスアプレピタントは生体内の代謝反応を通じて、速やかにアプレピタントに変化します。
5 ホスアプレピタントの投与においても、アプレピタントにおいて認められているような代謝酵素の阻害に基づく薬物相互作用に注意する必要があります。
105回薬剤師国家試験 問208 解答解説
アプレピタントは、延髄の化学受容器引金帯(CTZ)や嘔吐中枢に存在するニューロキニン1(NK1)受容体を選択的に遮断し、抗悪性腫瘍剤投与に伴う悪心・嘔吐の消化器症状(遅発性の症状を含む)を抑制する選択的NK1受容体拮抗型制吐剤である。
ホスアプレピタントは、アプレピタントの窒素原子にリン酸基を導入することにより、水溶性を向上させ、注射剤として点滴静注できるようにした。
ホスアプレピタントは静脈内に投与された後、脱リン酸化酵素によりリン酸基が外れ、活性体のアプレピタントとなるプロドラッグであり、抗がん剤による口内炎などでアプレピタントの経口投与が困難な患者の治療に用いられる。
選択肢の記述の正誤は下記の通り。
1 〇 ホスアプレピタントは、アプレピタントの経口投与が困難な患者さんのために開発された薬剤です。
2 〇 ホスアプレピタントは、アプレピタントの水溶性を向上させたプロドラッグです。
3 × ホスアプレピタントは、アプレピタントの窒素原子にリン酸基が導入されたことにより、血液脳関門を通過しやすくなっています。
ホスアプレピタントはアプレピタントにリン酸基が導入されたことにより水溶性が向上しているため、血液脳関門を通過しにくくなっている。
4 〇 ホスアプレピタントは生体内の代謝反応を通じて、速やかにアプレピタントに変化します。
5 〇 ホスアプレピタントの投与においても、アプレピタントにおいて認められているような代謝酵素の阻害に基づく薬物相互作用に注意する必要があります。
ホスアプレピタントは、生体内の代謝で脱リン酸化されてアプレピタントに変化するので、アプレピタントと同様に軽度から中程度のCYP3A4阻害(用量依存的)及び誘導作用、CYP2C9の誘導作用に基づく薬物相互作用に注意する必要がある。
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第105回問208,209(e-RECさん)