オマリグリプチンの構造 dpp4の基質結合部位との相互作用 106回薬剤師国家試験問211
106回薬剤師国家試験 問211
81歳男性。半年前に妻を亡くしてから在宅医療を受けている。また、10年前から糖尿病の治療のため、処方1の薬剤を服用している。
(処方1)
グリメピリド口腔内崩壊錠3mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回 朝食後 28日分
最近、患者宅を薬剤師が訪問したところ、近所に住む娘から低血糖症状が頻回に発現するとの情報を得た。そこで、アドヒアランスを考慮し、医師に処方1を中止して処方2への変更を提案したところ、受け入れられた。
(処方2)
オマリグリプチン錠25mg 1回1錠(1日1錠)
毎週 日曜日 1日1回 朝食後 4日分(投与実日数)
問211
処方2で用いられた薬物(オマリグリプチン)は、プロテアーゼであるジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4) の基質結合部位に結合して阻害することにより血糖降下作用を示す。この薬物は、以下の図に示したようなDPP-4の基質結合部位のアルギニン残基、グルタミン酸残基、フェニルアラニン残基の側鎖とそれぞれ相互作用する官能基をもつ。
処方2の薬物の構造はどれか。1つ選びなさい。
ただし、グアニジノ基は水素結合相互作用におけるプロトン供与体として働く。
106回薬剤師国家試験 問211 解答解説
設問の図のDPP-4基質結合部位のアミノ酸残基とDPP-4阻害薬のオマリグリプチンとの相互作用として、下記の@〜Bが挙げられる。
@ アルギニン残基のグアニジノ基の水素との水素結合
このことから、オマリグリプチンはハロゲン,酸素,窒素など電気陰性度の大きい原子を有すると考えられる。
A グルタミン酸残基のカルボキシラートイオン(陰イオン)とのイオン結合
このことから、オマリグリプチンは陽イオンとなる塩基性官能基を有すると考えられる。
B フェニルアラニン残基のフェニル基とのπ−π相互作用
芳香環同士には、誘起双極子−誘起双極子相互作用(ロンドン分散力)の1種であるπ−π相互作用が働く。
よって、オマリグリプチンは芳香環を有すると考えられる。
以上より、オマリグリプチンの構造は下記の4だと考えられる。
オマリグリプチン(マリゼブ)は週1回投与の持続性DPP-4阻害薬である。
別解として、
経口血糖降下薬は系統によって特徴的な構造を有するので、その観点から選択肢を絞ることもできる。
◆ 1ついて
1はスルホニルウレア構造を有するので、スルホニル尿素薬(SU薬)だと推測できる。
◆ 3について
3はグルコースに類似した構造を有するので、αグルコシダーゼ阻害薬だと推測できる。
◆ 5について
5はビグアニド構造を有するので、ビグアニド系(ビグアナイド系)血統降下薬だと推測できる。
なお、2はグリニド系の速攻型インスリン分泌促進薬のナテグリニド(スターシス)である。
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第106回問210,211(e-RECさん)