グルタチオン 薬学化学 第96回薬剤師国家試験問14
第96回薬剤師国家試験 問14
グルタチオンに関する記述の正誤を判定してみよう。
a 本品はトリペプチドである。
b 本品に含まれるキラル中心炭素(AとB)の立体配置はいずれもSである。
c 本品にはL-システイン残基が含まれている。
d 左端の構成アミノ酸はL-アスパラギン酸であり、γ位のカルボキシ基がアミド結合を形成している。
e 本品は容易にジスルフィドに酸化されることにより、生体に有害な酸化物を還元的に除去する。
第96回薬剤師国家試験 問14 解答解説
◆ aについて
a 〇 本品はトリペプチドである。
グルタチオンは、下記の通りL-グルタミン酸,L-システイン,グリシンの3つのアミノ酸がペプチド結合したトリペプチドである。
◆ bについて
b × 本品に含まれるキラル中心炭素(AとB)の立体配置はいずれもSである。
→ 〇 AはS配置、BはRである。
・Aの立体配置
CのHが奥にあり、@ABが反時計回りに並んでいるのでAはS配置である。
・Bの立体配置
CのHが手前にあり、@ABが反時計回りに並んでいるのでBはR配置である。
◆ cについて
c 〇 本品にはL-システイン残基が含まれている。
アミノ酸のD体L体については下記のリンク先を参照
アミノ酸のD体L体
システインのL体のα炭素の立体配置はR配置である。
システイン以外のアミノ酸のL体の立体配置はS配置である。
設問のグルタチオンのシステイン残基は、α炭素がR配置であるのでL体である。
なお、生体のたんぱく質,ペプチドを構成するアミノ酸はほとんどがL体である。
◆ dについて
d × 左端の構成アミノ酸はL-アスパラギン酸であり、γ位のカルボキシ基がアミド結合を形成している。
→ 〇 左端の構成アミノ酸はL-グルタミン酸であり、γ位のカルボキシ基がアミド結合を形成している。
なお、アスパラギン酸はグルタミン酸に比べて側鎖の炭素数が1つ少ない。
◆ eについて
e 〇 本品は容易にジスルフィドに酸化されることにより、生体に有害な酸化物を還元的に除去する。
下記のリンク先を参照
グルタチオンの抗酸化作用