ピペラシリン 医薬品化学 98回薬剤師国家試験問207
98回薬剤師国家試験 問207
ピペラシリン(A)の構造に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 Aの部分構造BはL-メチオニンとD-バリンで構成されている。
2 Bの骨格Cをセファムとよぶ。
3 Cの左側に存在する環状アミドをラクタムとよぶ。
4 ペニシリン系抗生物質に対する耐性菌が産生するβ-ラクタマーゼは、Aの四角で囲んだ部分に存在するアミド結合を切断する。
98回薬剤師国家試験 問207 解答解説
β−ラクタム系抗生物質は、細菌細胞壁の構成成分のペプチドグリカンの生合成に関わる酵素であるペニシリン結合タンパク質(PBP)との間で共有結合を形成することで、本酵素の働きを抑制し、正常な細胞壁の生合成を阻害することで殺菌作用を示す。
ピペラシリンナトリウムは、広域ペニシリンの中でも緑膿菌にも抗菌作用を示す抗緑膿菌広域ペニシリン
である。
◆ 1について
1 × Aの部分構造BはL-メチオニンとD-バリンで構成されている。
→ 〇 Aの部分構造BはL-システインとD-バリンで構成されている。
L-メチオニンの構造は下記の通り。
なお、アミノ酸のD体L体については下記のリンク先を参照。
アミノ酸のD体L体
◆ 2について
2 × Bの骨格Cをセファムとよぶ。
→ 〇 Bの骨格Cをペナムとよぶ。
β−ラクタム系抗生物質の基本骨格については下記のリンク先を参照
β−ラクタム系抗生物質の基本骨格
◆ 3について
3 〇 Cの左側に存在する環状アミドをラクタムとよぶ。
◆ 4について
4 〇 ペニシリン系抗生物質に対する耐性菌が産生するβ-ラクタマーゼは、Aの四角で囲んだ部分に存在するアミド結合を切断する。
ピペラシリンはβ-ラクタマーゼによって加水分解されるので、β-ラクタマーゼ阻害薬のタゾバクタムと併用されることがある(ゾシン,タゾピペ配合)。
タゾバクタムがβ-ラクタマーゼのペニシリナーゼ、セファロスポリナーゼ及び基質特異性拡張型β-ラクタマーゼを強く不活性化するため、ピペラシリンがこれらの酵素によって加水分解されることを防御し、ピペラシリン耐性菌に対して抗菌力を示す。
★他サイトさんの解説へのリンク
第98回問206,207(e-RECさん)