オメプラゾールの構造及びその生体内での変化 100回薬剤師国家試験問207
100回薬剤師国家試験 問207
オメプラゾールの構造及びその生体内での変化に関して誤っている記述はどれか。1つ選びなさい。
1 オメプラゾールはイオウ原子上に不斉中心を持つ。
2 Aはオメプラゾールの分子内置換反応によって生成する。
3 BからCへの変換によって生成する分子Eは水である。
4 Cは酵素Fのシステイン残基と反応してDになる。
5 オメプラゾールは酵素Fを不可逆的に阻害する。
100回薬剤師国家試験 問207 解答解説
◆ 1について
1 〇 オメプラゾールはイオウ原子上に不斉中心を持つ。
詳細は下記のリンク先を参照
オメプラゾールはイオウ原子上に不斉中心を持つ 100回問207の1
◆ 2について
2 × Aはオメプラゾールの分子内置換反応によって生成する。
→ 〇 Aはオメプラゾールの分子内付加反応によって生成する。
◆ 3について
3 〇 BからCへの変換によって生成する分子Eは水である。
BからCへの変換は、硫黄に対してベンズイミダゾールの窒素が求核攻撃することによって起こる求核置換反応である。この反応により、水分子が脱離する(脱水)。よって、分子Eは水である。
◆ 4,5について
4 〇 Cは酵素Fのシステイン残基と反応してDになる。
5 〇 オメプラゾールは酵素Fを不可逆的に阻害する。
酵素Fは胃壁細胞膜のH+-K+ATPase(プロトンポンプ)である。
Cの硫黄に対してH+-K+ATPaseのシステイン残基のチオール基(−SH)が求電子攻撃し、ジスルフィド結合(共有結合)を形成する。これにより、プロトンポンプの機能を不可逆的に阻害し、胃酸の生成を抑制する。
このように、プロトンポンプインヒビター(PPI)は、プロトンポンプとジスルフィド結合による安定な共有結合を形成してその機能を不可逆的に阻害するため、薬効は強力で長時間続く。よって、ピロリ菌の除菌時などを除いてPPIは通常1日1回の投与で良い。
★他サイトさんの解説へのリンク
第100回問206,207(e-RECさん)