シクロホスファミドの代謝と活性化,アクロレイン 99回薬剤師国家試験問211,212
99回薬剤師国家試験 問210−212
40歳女性。身長154cm、体重54kg。造血幹細胞移植の前治療で注射用シクロホスファミド水和物をシクロホスファミド(無水物換算)として50mg/kg/dayで投与することになった。なお、点滴静注の場合は、シクロホスファミド(無水物換算)100mgあたり5mLの注射用水を用いて溶解後、1日当たりの必要量(X mL)を量りとり、補液で希釈し用いる。
問210
シクロホスファミドの調製と投与に関して正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 X = 27である。
2 補液には生理食塩液を用いる。
3 大量投与する時には、出血性膀胱炎予防のためメスナ(2-メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム)を投与する。
4 治療効果を向上させるため、シクロホスファミド投与終了後24時間は輸液の投与を避ける。
問211
シクロホスファミド(A)は、ヒト肝ミクロソーム中のシトクロムP450(P450)によりメチレン炭素に水酸基が導入され、B、Cを経てホスホラミドマスタード(E)に代謝されたのち、最終的に活性体であるナイトロジェンマスタード(F)となる。Step 1において水酸基が導入される炭素はAの1〜5のうちどれか。1つ選びなさい。
問212
Step 3においてEとともに生じる化合物Dとして最も適切な構造はどれか。1つ選びなさい。
99回薬剤師国家試験 問210 解答解説
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シクロホスファミドの調製と投与 99回問210
99回薬剤師国家試験 問211 解答解説
Step 1において、P450により水酸基が導入される炭素は5である。
A(シクロホスファミド)とCの構造を見比べると、
Aの代謝によって下記の結合が切断されると考えられる。
よって、P450により水酸基が導入されるのは5の炭素だと推測できる。
99回薬剤師国家試験 問212 解答解説
Step 3において生じる化合物Dは5(アクロレイン)である。
Cが加水分解されて生成するEの構造から、
Cの下記の結合が切断されると考えられる。
よって、Cの加水分解により、下記のようにDとEが生成すると考えらえる。
Dはアクロレインであり、出血性膀胱炎などの泌尿器障害を引き起こすと考えられている。
シクロホスファミド投与の際は出血性膀胱炎を引き起こす副産物のアクロレインの体外排出を促すよう尿量の増加を図るが、特に造血幹細胞移植の前治療に投与する場合には,シクロホスファミドを投与終了後24時間は150mL/時間以上の尿量を保つように,1日3L以上の輸液を投与するとともに、アクロレインを解毒するメスナを併用することとされている。
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第99回問210〜212(e-RECさん)