アセトアミノフェンの代謝物に対するグルタチオン抱合の機構 102回薬剤師国家試験問209
102回薬剤師国家試験 問208−209
22歳女性。体重45kg。アセトアミノフェンを含有するOTC 医薬品を大量に服用し、救急搬送されてきた。服用後約4時間が経過しており、アセトアミノフェンの摂取量から、解毒薬としてアセチルシステイン内用液17.6%の投与が必要と判断された。
問208
22歳女性。体重45kg。アセトアミノフェンを含有するOTC 医薬品を大量に服用し、救急搬送されてきた。服用後約4時間が経過しており、アセトアミノフェンの摂取量から、解毒薬としてアセチルシステイン内用液17.6%の投与が必要と判断された。
投与する用量として、添付文書には「本剤又は本剤を希釈した液を、初回にアセチルシステインとして140mg/kg、次いでその4時間後から70mg/kg を4時間毎に17回、計18回経口投与する。」と記載されている。投与されるアセチルシステイン内用液17.6%の総量(mL)として最も近いのはどれか。1つ選びなさい。
1 34
2 170
3 340
4 1,700
5 3,400
問209
アセトアミノフェンが大量投与された際に生じる代謝物Aは、グルタチオンとの間で付加体を生じる。この付加体の構造式として最も適切なのはどれか。1つ選びなさい。
102回薬剤師国家試験 問208 解答解説
下記のリンク先を参照
アセチルシステイン内用液の調剤 102回問208
102回薬剤師国家試験 問209 解答解説
正解は4である。
アセトアミノフェンの代謝経路は下記のリンク先を参照
アセトアミノフェンの代謝経路
治療用量で投与されたアセトアミノフェンは大部分がグルクロン酸抱合や硫酸抱合で代謝されるが、一部はCYP2E1により代謝されN-アセチル-p -ベンゾキノンイミン(NAPQI)や3-ヒドロキシアセトアミノフェンを生じる。N-アセチル-p -ベンゾキノンイミン(NAPQI)は肝細胞のタンパク質と結合し、肝細胞障害を引き起こす。
設問の代謝物AがN-アセチル-p -ベンゾキノンイミン(NAPQI)に該当する。
肝障害を起こすN-アセチル-p -ベンゾキノンイミン(NAPQI)はグルタチオン抱合で解毒される。
グルタチオン抱合においては、グルタチオンのシステイン残基のチオール(SH)が基質の電子不足な部位(求電子部位)に求核攻撃する。
NAPQIには電子求引基が置換したアルケンがある。
電子求引基が置換したアルケンのβ位炭素は電子不足であり、求核剤による求核攻撃を受けやすい。
アセトアミノフェンが大量投与されると、グルクロン酸抱合や硫酸抱合による解毒代謝が飽和し、CYP2E1による代謝物のN-アセチル-p -ベンゾキノンイミン(NAPQI)が多く生成し、グルタチオンも枯渇してしまう。そして、NAPQIが肝障害,腎障害の中毒症状を引き起こすと考えられている。
★他サイトさんの解説へのリンク
102回問208,209(e-RECさん)