アセトアミノフェンの代謝経路 解毒,抱合,中毒の機序と対処
本ページでは、アセトアミノフェンの代謝経路と中毒について説明しています。
アセトアミノフェンは大部分がグルクロン酸抱合や硫酸抱合で代謝されるが、
一部はCYP2E1により代謝されN-アセチル-p -ベンゾキノンイミン(NAPQI)や3-ヒドロキシアセトアミノフェンを生じる。N-アセチル-p -ベンゾキノンイミン(NAPQI)は肝細胞のタンパク質と結合し、肝細胞障害(肝細胞のネクローシス)を引き起こす。NAPQIはグルタチオン抱合で解毒される。
グルタチオン抱合体はそのまま胆汁中に排泄されるか、加水分解されてシステイン抱合体となった後、アセチル抱合を受け、メルカプツール酸(N-アセチルシステイン抱合体)となり、尿中排泄される。
アセトアミノフェンが大量投与されると、グルクロン酸抱合や硫酸抱合による解毒代謝が飽和し、CYP2E1による代謝物のN-アセチル-p -ベンゾキノンイミン(NAPQI)が多く生成し、グルタチオンも枯渇してしまう。そして、NAPQIが肝障害,腎障害の中毒症状を引き起こすと考えられている。
また、日常的な飲酒はCYP2E1の誘導とグルタチオンの欠乏につながり、NAPQIによる有害事象を促す。
★ アセトアミノフェン中毒のアセチルシステインによる解毒
アセチルシステインは生体内で脱アセチル化されてシステインに変換されるので、
グルタチオンの前駆物質として働き、
グルタチオンの生合成量を増やすことで、
アセトアミノフェン中毒の原因となるN-アセチル-p -ベンゾキノンイミンのグルタチオン抱合による解毒を促進すると考えられる。