フルバスタチンNa,コレスチミドの服薬指導 99回薬剤師国家試験問206

99回薬剤師国家試験 問206
63歳男性。脂質異常症と診断され、食事療法及び運動療法とともにフルバスタチンナトリウム錠20mg による治療を受けていたが、改善がみられなかった。そこで、以下の処方に変更された。

 

フルバスタチンNa,コレスチミドの服薬指導 99回薬剤師国家試験問206

 

問206
この患者への薬剤師による服薬指導の内容として誤っているのはどれか。1つ選びなさい。
1 脂質異常症は自覚症状がないが、服薬は重要であることを説明した。
2 食事療法及び運動療法は継続するように指導した。
3 コレスチミド錠を飲み忘れた場合、就寝前にフルバスタチンナトリウム錠と一緒に服用するように指導した。
4 筋肉痛や脱力感がある場合は受診するように指導した。
5 便秘が起こることがあると説明した。

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99回薬剤師国家試験 問206 解答解説

 

★ フルバスタチンNa(ローコール)の薬効薬理

 

下記はフルバスタチンNaの添付文書中の作用機序の記載である。
「フルバスタチンナトリウムは、コレステロール生合成系の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素を特異的にかつ競合的に阻害し、主に肝におけるコレステロール合成を抑制する。この結果、肝のLDL受容体活性が増強し、血中からのLDLの取り込みが増加し、血中LDL濃度が低下する。この作用は、総コレステロール、LDLコレステロールの低下として観察される。」

 

フルバスタチン(ローコール)の添付文書上の用法は、1日1回夕食後である。

 

 

★ コレスチミド(コレバイン)の薬効薬理

 

コレスチミド(コレバイン)は、陰イオン交換樹脂である。
下記はコレスチミドの添付文書中の作用機序の記載である。
「コレスチミドは消化管で胆汁酸を吸着し,その排泄促進作用により胆汁酸の腸肝循環を阻害し,肝におけるコレステロールから胆汁酸への異化を亢進する.その結果,肝のコレステロールプールが減少するため,この代償作用として,肝LDL受容体の増加による血中LDLの取込み亢進が生じ,血清総コレステロールが減少する.なお,外因性コレステロールの直接の吸着あるいは胆汁酸ミセル形成阻害によるコレステロール吸収阻害も血清総コレステロールの減少に寄与するものと考えられている.」

 

フルバスタチンNa,コレスチミドの服薬指導 99回薬剤師国家試験問206

 

コレスチミド(コレバイン)の添付文書上の用法は、1日2回朝夕食前または朝夕食後である。

 

 

◆ 1について
1 〇 脂質異常症は自覚症状がないが、服薬は重要であることを説明した。

 

脂質異常症は自覚症状がないが、動脈硬化を促進させ、それに関連する疾患の発症リスクを高める。

 

 

◆ 2について
2 〇 食事療法及び運動療法は継続するように指導した。

 

脂質異常症の治療の基本は、食事療法・運動療法をはじめとする生活習慣の改善である。

 

 

◆ 3について
3 × コレスチミド錠を飲み忘れた場合、就寝前にフルバスタチンナトリウム錠と一緒に服用するように指導した。

 

フルバスタチンNaとコレスチミドを同時に服用すると、酸性薬物のフルバスタチンは陰イオン交換樹脂のコレスチミドに吸着され、フルバスタチンの糞便中への排泄量が増加し、フルバスタチンの吸収量が低下すると考えられる。
そのため、フルバスタチンNaとコレスチミドの同時服用は避ける。

 

フルバスタチンNa,コレスチミドの服薬指導 99回薬剤師国家試験問206

 

 

下記は関連するフルバスタチンNa(ローコール)の添付文書中の記載である。
併用注意
・陰イオン交換樹脂剤(コレスチラミン等)
臨床症状・措置方法
コレスチラミンとの併用により本剤の血中濃度が低下したとの報告があるのでコレスチラミン投与後、少なくとも3時間経過後に本剤を投与することが望ましい。なお、他の陰イオン交換樹脂剤についても本剤の血中濃度が低下するおそれがある。
機序・危険因子
本剤が陰イオン交換樹脂に吸着され、消化管内からの吸収量が低下するためと考えられる。

 

 

下記は関連するコレスチミドの添付文書上の記載である。
併用注意
◆ 酸性薬物(フェニルブタゾン,ワルファリン,クロロチアジド等),テトラサイクリン,フェノバルビタール,甲状腺及びチロキシン製剤,ジギタリス)
臨床症状・措置方法
併用薬の作用減弱を起こすおそれがある.本剤投与前1時間若しくは投与後4〜6時間以上,又は可能な限り間隔を空けて投与し,併用薬の作用の変化についても慎重に観察すること.
機序・危険因子
同時に経口投与された場合に,併用薬の吸収を遅延あるいは減少させるおそれがある.

 

併用注意
◆ 胆汁酸製剤(ウルソデオキシコール酸,ケノデオキシコール酸)
臨床症状・措置方法
胆汁酸製剤の作用減弱を起こすおそれがあるので,可能な限り間隔を空けて投与すること.
機序・危険因子
同時に経口投与された場合に,併用薬の吸収を遅延あるいは減少させるおそれがある.

 

併用注意
◆ エゼチミブ(ゼチーア),
カンデサルタン シレキセチル(ブロプレス)
臨床症状・措置方法
併用薬の血中濃度が低下するおそれがあるので,可能な限り間隔を空けて投与すること.
機序・危険因子
同時に経口投与された場合に,併用薬の吸収を遅延あるいは減少させるおそれがある.

 

 

◆ 4について
4 〇 筋肉痛や脱力感がある場合は受診するように指導した。

 

フルバスタチン(ローコール)の副作用として横紋筋融解症,ミオパチーがあり、コレスチミドの副作用として横紋筋融解症がある。そのため、筋肉痛や脱力感がある場合は受診するように指導する。

 

下記はフルバスタチンの添付文書中の記載である。
「筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれ、これに伴って急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、このような場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、筋炎を含むミオパチーがあらわれることがあるので、広範な筋肉痛、脱力感や著明なCK(CPK)の上昇があらわれた場合には投与を中止すること」

 

 

なお、スタチン系はいずれもHMG-CoAに類似した構造があり、カルボキシ基を有するので陰イオン交換樹脂との相互作用に注意を要する。

 

フルバスタチンNa,コレスチミドの服薬指導 99回薬剤師国家試験問206

 

 

フルバスタチンNa,コレスチミドの服薬指導 99回薬剤師国家試験問206

 

 

◆ 5について
5 〇 便秘が起こることがあると説明した。

 

コレスチミド(コレバイン)は、陰イオン交換樹脂である。
一般に、イオン交換樹脂などのポリマー製剤は、腸管内で水分を吸収して膨潤する性質があるため、便秘や腹部膨満感,腸閉塞,腸管穿孔の消化器系副作用を起こすことがあるので、腹痛,嘔吐等の症状には注意する。
コレスチミドは腸閉塞の患者には禁忌である(膨潤して腸管穿孔を起こす恐れがあるため)。
便秘が生じる場合は緩下剤が併用されることがある。

 

また、のどに残ったり、誤って気道に入った場合は、そこで膨潤して呼吸困難になるので、嚥下困難な者や高齢者は慎重投与である。
コレスチミド(コレバイン)の服用方法について、以下の指導が必要。
・十分量(200mL程度)の水で服用させ、のどの奥に残った場合には,さらに水を飲み足させる。
・温水で服用すると膨らみやすく、服用できなくなることがあるので、常温の水または冷水で服用する。
・口中に長く留めていると膨らんで服用できない場合があるので速やかに嚥下させる。
・錠剤の場合は1錠ずつ服用させる。

 

関連問題
コレスチミドの性質とワルファリンとの相互作用 97回問196,197

 

 

★他サイトさんの解説へのリンク
99回問206,207(e-RECさん)

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