レボドパと、その薬効増強を目的として配合されているベンセラジド 102回薬剤師国家試験問270−271
102回薬剤師国家試験 問270−271
76歳男性。1年ほど前から安静時に手足の震えや硬直が認められ、パーキンソン病と診断された。現在までレボドパ・ベンセラジド配合錠が処方され、症状は改善されている。
問270(薬剤)
レボドパと、その薬効増強を目的として配合されているベンセラジドに関する記述として、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 レボドパは、主にアミノ酸トランスポーターLAT1により脳内に移行する。
2 レボドパは、主に単純拡散により脳内に移行する。
3 ベンセラジドは、主にモノアミン輸送系により脳内に移行する。
4 ベンセラジドは、脳におけるレボドパからドパミンへの代謝を阻害する。
5 ベンセラジドは、末梢組織におけるレボドパからドパミンへの代謝を阻害する。
問271(実務)
3日前より尿が出にくいという症状が現れたため、泌尿器科を受診し、神経因性膀胱による排尿困難と診断された。本患者に適切でない薬剤はどれか。1つ選びなさい。
1 ウラピジル
2 タムスロシン塩酸塩
3 ナフトピジル
4 プラゾシン塩酸塩
5 ベタネコール塩化物
102回薬剤師国家試験 問270(薬剤) 解答解説
1 ○ レボドパは、主にアミノ酸トランスポーターLAT1により脳内に移行する。
2 × レボドパは、主に単純拡散により脳内に移行する。
3 × ベンセラジドは、主にモノアミン輸送系により脳内に移行する。
→ 〇 ベンセラジドは、脳内に移行せず、末梢組織で作用する。
4 × ベンセラジドは、脳におけるレボドパからドパミンへの代謝を阻害する。
5 ○ ベンセラジドは、末梢組織におけるレボドパからドパミンへの代謝を阻害する。
レボドパは、ドパミンを親化合物とするプロドラッグである。
ドパミンは血液脳関門を通過できないが、レボドパはアミノ酸トランスポーターのLAT1により脳内に移行される。脳内に移行したレボドパは、芳香族L-アミノ酸デカルボキシラーゼにより脱炭酸されてドパミンとなり、薬効を発揮する。
ベンセラシドは、脳内には移行せず、末梢組織において芳香族L-アミノ酸デカルボキシラーゼを阻害する薬である。
レボドパとベンセラシドを併用することで、末梢でレボドパが脱炭酸されてドパミンに変換されるのを抑制し、脳内に移行するレボドパの量を増加させることができる。
102回薬剤師国家試験 問271(実務) 解答解説
本患者に適切でない薬剤は、
選択肢5のベタネコール塩化物(ベサコリン)である。
ベタネコールは、膀胱平滑筋(排尿筋)のムスカリン性アセチルコリン受容体を刺激することにより、膀胱平滑筋を収縮させ、排尿を促進するので、排尿困難の治療に用いられる。
パーキンソン病では、脳内のドパミンが減少し、相対的にアセチルコリンが多くなることにより、アセチルコリンの機能が過剰になっている。
ベタネコールは、アセチルコリン受容体刺激薬であり、パーキソニズムを悪化させる恐れがあるため、パーキソニズムのある患者には禁忌となっている。
他の選択肢の薬物について
タムスロシン,プラゾシン,ウラピジル,ナフトピジルは、前立腺や膀胱の平滑筋,尿道括約筋のアドレナリンα1受容体を選択的に遮断し、これらの筋肉の収縮を抑制して弛緩させることにより、尿道抵抗を減少し、排尿を促進する。
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102回問270,271(e-RECさん)