ヒトにおけるプリンヌクレオチドの分解過程 103回薬剤師国家試験問114

103回薬剤師国家試験 問114
ヒトにおけるプリンヌクレオチドの分解過程に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。

 

1 アデノシンをイノシンに変換する酵素の遺伝的欠損により、免疫不全が生じる。
2 イノシンをヒポキサンチンに変換する過程で、ATP が消費される。
3 グアノシン一リン酸(GMP)は、ヒポキサンチンを経てキサンチンに代謝される。
4 キサンチンが尿酸に変換される過程で、過酸化水素が生成される。
5 尿酸は、二酸化炭素とアンモニアに分解されて排泄される。

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103回薬剤師国家試験 問114 解答解説

 

ヌクレオチドの分解と産物については下記のリンク先を参照

 

ピリミジンヌクレオチドの分解経路と産物

 

プリンヌクレオチドの分解経路と産物

 

◆ 1について
1 〇 アデノシンをイノシンに変換する酵素の遺伝的欠損により、免疫不全が生じる。

 

アデノシンをイノシンに変換する酵素はアデノシンデアミナーゼ(ADA)である。
アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症では、著明なリンパ球減少を認め、重篤な免疫不全状態を呈する。

 

 

◆ 2について
2 × イノシンをヒポキサンチンに変換する過程で、ATP が消費される。

 

ヌクレオチドの生合成でATPが消費される過程はあるが、
ヌクレオチドの分解でATPが消費される過程はない。

 

ヌクレオチドの合成経路と原料については下記のリンク先を参照

 

ピリミジンヌクレオチドのデノボ合成

 

プリンヌクレオチドのデノボ合成

 

 

◆ 3について
3 × グアノシン一リン酸(GMP)は、ヒポキサンチンを経てキサンチンに代謝される。

 

グアノシン一リン酸(GMP)の分解ではプリン塩基のグアニンを生じるが、グアニンはグアニンデアミナーゼでアミノ基が加水分解されてキサンチンとなる。よって、グアノシン一リン酸(GMP)が分解されてキサンチンとなる過程ではヒポキサンチンを経由しない。

 

一方、アデノシン一リン酸(AMP)の分解ではヒポキサンチンを経てキサンチンに代謝される。
アデノシン一リン酸(AMP)の分解ではヌクレオシドのイノシンを経由する。イノシンのプリン塩基はヒポキサンチンであるため、イノシンの分解でヒポキサンチンが生じ、ヒポキサンチンがキサンチンオキシダーゼで酸化されてキサンチンとなる。

 

 

◆ 4について
4 〇 キサンチンが尿酸に変換される過程で、過酸化水素が生成される。

 

キサンチンオキシダーゼが触媒する酸化反応はH2OとO2が関わり、O2が電子受容体となって過酸化水素が生成する。
ヒポキサンチンがキサンチンオキシダーゼで酸化されてキサンチンとなる反応、および、キサンチンがキサンチンオキシダーゼで酸化されて尿酸となる反応では、反応の進行に伴い過酸化水素が生成する。

 

 

◆ 5について
5 × 尿酸は、二酸化炭素とアンモニアに分解されて排泄される。

 

ヒトではプリン塩基の最終代謝物は尿酸である。

 

 

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第103回問114(e-RECさん)

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