炭素ラジカルの安定性と反応性

本ページでは、炭素ラジカルの安定性と基質のラジカル反応の反応性の関係を説明しています。

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ラジカルは不対電子が1つ浮いている不安定な状態であり、電子を1つ得て不対電子を電子対にしたいため、電子不足な状態である。よって、ラジカルは置換基により電子供与性電子効果が与えられるほど安定性が高まり、電子求引性電子効果が与えられるほど安定性が低下する。
アルキル基は電子供与性電子効果を与える置換基なので、アルキル基の置換数の多いほど炭素ラジカルは安定性が高くなる。

 

よって、炭素ラジカルの安定性の序列は、安定性の高いものから、
第3級>第2級>第1級>メチル
である。

 

炭素ラジカルの安定性と反応性の関係 化学系薬学

 

水素ラジカルが引き抜かれて生成する炭素ラジカルの安定性が高い基質ほど、ラジカルハロゲン化は起こりやすい。
したがって、炭化水素のラジカルハロゲン化の起こりやすさの序列は、起こりやすい方から、
第3級炭素>第2級炭素>第1級炭素
である。

 

炭素ラジカルの安定性と反応性の関係 化学系薬学

 

 

★ ベンジル位、アリル位はラジカル反応が起こりやすい

 

ベンジルラジカル(Ph−C・)やアリルラジカル(C=C−C・)は共鳴安定化するので、ラジカル化反応において優先してベンジル位やアリル位の水素がラジカルとして抜かれやすい。

 

炭素ラジカルの安定性と反応性の関係 化学系薬学

 

 

下記はトルエンのベンジル位におけるラジカル塩素化反応である。

 

炭素ラジカルの安定性と反応性の関係 化学系薬学

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