アセトアミノフェン中毒 アセチルシステイン内用液の調剤 102回薬剤師国家試験問208
102回薬剤師国家試験 問208
22歳女性。体重45kg。アセトアミノフェンを含有するOTC 医薬品を大量に服用し、救急搬送されてきた。服用後約4時間が経過しており、アセトアミノフェンの摂取量から、解毒薬としてアセチルシステイン内用液17.6%の投与が必要と判断された。
投与する用量として、添付文書には「本剤又は本剤を希釈した液を、初回にアセチルシステインとして140mg/kg、次いでその4時間後から70mg/kg を4時間毎に17回、計18回経口投与する。」と記載されている。投与されるアセチルシステイン内用液17.6%の総量(mL)として最も近いのはどれか。1つ選びなさい。
1 34
2 170
3 340
4 1,700
5 3,400
102回薬剤師国家試験 問208 解答解説
正解は3の340である。
まず、アセチルシステインとしての総投与量を計算する。
患者の体重は45kgである。
初回はアセチルシステインとして140mg/kgで投与することになっているので、初回の投与量は、
140mg/kg×45kg=6300mg
である。
2回目以降はアセチルシステインとして70mg/kgで投与することになっており、それを17回投与するので、その投与量は、
70mg/kg×45kg×17=53550mg
である。
よって、アセチルシステインとしての総投与量は、
6300mg+53550mg=59850mg
である。
アセチルシステイン内用液17.6%は、アセチルシステイン176mg/mLの含有量と換算できる。
アセチルシステインの総投与量は59850mgであり、今回必要なアセチルシステイン内用液17.6%の総量をX mLとおくと、
176mg:1mL = 59850mg:XmL
より、
X≒340mLである。
★ アセトアミノフェン中毒とアセチルシステインによる解毒
アセトアミノフェンの代謝経路は下記のリンク先を参照
アセトアミノフェンの代謝経路
治療用量で投与されたアセトアミノフェンは大部分がグルクロン酸抱合や硫酸抱合で代謝されるが、一部はCYP2E1により代謝されN-アセチル-p -ベンゾキノンイミン(NAPQI)や3-ヒドロキシアセトアミノフェンを生じる。NAPQIはグルタチオン抱合で解毒される。
アセトアミノフェンが大量投与されると、グルクロン酸抱合や硫酸抱合による解毒代謝が飽和し、CYP2E1による代謝物のN-アセチル-p -ベンゾキノンイミン(NAPQI)が多く生成し、グルタチオンも枯渇してしまう。そして、NAPQIが肝障害,腎障害の中毒症状を引き起こすと考えられている。
アセチルシステインは生体内で脱アセチル化されてシステインに変換されるので、グルタチオンの前駆物質として働き、グルタチオンの生合成量を増やすことで、NAPQIのグルタチオン抱合による解毒を促進すると考えられる。
★他サイトさんの解説へのリンク
102回問208,209(e-RECさん)