ペグインターフェロンアルファ-2bとリバビリンの併用療法 99回薬剤師国家試験問282,283

99回薬剤師国家試験 問282−283
55歳男性。体重67kg。C型慢性肝炎の治療のため、以下の薬剤が処方された。

 

99回薬剤師国家試験問282,283 ペグインターフェロンアルファ-2bとリバビリンの併用療法

 

問282(実務)
上記処方に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 ウイルス陰性化率は、ウイルスの遺伝子型の影響を受ける。
2 リバビリンは、単剤で強い抗ウイルス効果を示す。
3 B型慢性肝炎にも著効を示す。
4 主な副作用として発熱がある。
5 葛根湯は併用禁忌である。

 

問283(薬剤)
ペグインターフェロンアルファ-2bは、インターフェロンアルファ-2bにメトキシポリエチレングリコールを結合させたものである。この結合の目的として、誤っているのはどれか。1つ選びなさい。
1 水溶性の向上
2 抗原性の低下
3 タンパク質分解酵素に対する安定性の向上
4 肝臓への標的指向化
5 糸球体ろ過の抑制

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99回薬剤師国家試験 問282(実務) 解答解説

 

99回薬剤師国家試験問282,283 ペグインターフェロンアルファ-2bとリバビリンの併用療法

 

◆ 1について
1 〇 ウイルス陰性化率は、ウイルスの遺伝子型の影響を受ける。

 

C型肝炎の各治療によるウイルス陰性化率は、ウイルスの遺伝子型により異なる。
例えば、設問のペグインターフェロンとリバビリンの併用療法によるウイルス陰性化率は、
ウイルスの遺伝子型が1aまたは1bでは40〜50%であるが、
ウイルスの遺伝子型が2aまたは2bでは80〜90%である。

 

 

◆ 2について
2 × リバビリンは、単剤で強い抗ウイルス効果を示す。

 

C型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善に対するリバビリンの単独療法は無効である。

 

 

◆ 3について
3 × B型慢性肝炎にも著効を示す。

 

ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法は、
C型慢性肝炎に対する効果は認められているが、B型慢性肝炎に対する効果は認められていない。

 

 

◆ 4について
4 〇 主な副作用として発熱がある。

 

ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法の副作用として、風邪・インフルエンザ様の症状,間質性肺炎,貧血・汎血球減少,抑うつ,消化器症状,痒み,脱毛などがある。

 

 

◆ 5について
5 × 葛根湯は併用禁忌である。

 

ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法において、葛根湯は併用禁忌ではない。
なお、インターフェロン製剤は小柴胡湯が併用禁忌である。その理由として、インターフェロンには間質性肺炎の副作用があるが、小柴胡湯を併用すると間質性肺炎が起こりやすくなることが報告されているためである。

 

 

99回薬剤師国家試験 問283(薬剤) 解答解説

 

薬物にポリエチレングリコールを結合させる目的として、
誤っているのは、選択肢4の肝臓への標的指向化である。

 

他の選択肢の「1 水溶性の向上」,「2 抗原性の低下」,「3 タンパク質分解酵素に対する安定性の向上」,
「5 糸球体ろ過の抑制」は、薬物にポリエチレングリコールを結合させる目的となる。
薬物をポリエチレングリコールで修飾すること(PEG化)による効果として、親水性の向上、抗体や分解酵素に対する安定性の向上、抗原性の低下による細網内皮系免疫細胞による認識と貪食の抑制、粒子サイズの拡大により腎排泄の抑制といったことが挙げられる。
以上のことから、薬物のPEG化により、血中滞留性の向上、作用の持続化、受動的ターゲティングが図れる。

 

 

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