亜硝酸アミル・ナトリウムとシアン(青酸)化物中毒 87回薬剤師国家試験問79a

87回薬剤師国家試験 問79a
農薬中毒の治療に関する下記の記述の正誤を判定してみよう。

 

a 亜硝酸アミルは,有機塩素系殺虫剤中毒の治療に用いられる。

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87回薬剤師国家試験 問79a 解答解説

 

a × 亜硝酸アミルは,有機塩素系殺虫剤中毒の治療に用いられる。
→ 〇 亜硝酸アミルと亜硝酸ナトリウムは,青酸化合物(シアン化合物)中毒の治療に用いられる。

 

シアン化合物(青酸化合物)の中毒では、シアンイオン(CN−)が細胞のミトコンドリア内の電子伝達系で働くシトクロムオキシダーゼのFe3+に結合し、この酵素を阻害することにより、ATPの産生を阻害し、細胞内呼吸が阻害される。特にエネルギーの需要の大きい脳や心臓の機能が急速に障害され、重症例では呼吸困難・意識消失・不整脈・痙攣などが生じる。
シアン化合物の中毒に対して亜硝酸アミル、または、亜硝酸ナトリウムを投与すると、
これらの薬剤はあえてヘモグロビンのFe2+をFe3+に酸化してメトヘモグロビンを増やし、
シアンイオンをメトヘモグロビンのFe3+に結合するよう促し、
シアンイオンをシトクロムオキシダーゼのFe3+から解離させ、
シトクロムオキシダーゼの機能を回復させる。
以上の作用により、亜硝酸アミル,亜硝酸ナトリウムはシアン化合物(青酸化合物)中毒を治療する。

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