セフジトレンピボキシルの服薬指導 102回薬剤師国家試験問210

102回薬剤師国家試験 問210
1歳男児。耳鼻科を受診し中耳炎と診断され、以下の薬剤が処方された。
母親が処方箋を持参し、薬局を訪れた。

 

102回問210 セフジトレンピボキシルの服薬指導

 

問210
この薬剤についての母親への説明として適切なのはどれか。2つ選びなさい。
1 症状の有無にかかわらず、5日間は飲み続けてください。
2 まれに痙れんしたり、意識を失うようなことがありますので、その際は直ちに受診してください。
3 下痢が起こることがありますが、よくある副作用なので心配ありません。
4 尿が赤くなることがありますが、心配ありません。
5 甘味がつけてあり、苦みを感じることはありません。

 

 

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102回薬剤師国家試験 問210 解答解説

 

◆ 1について
1 〇 症状の有無にかかわらず、5日間は飲み続けてください。

 

一般に、中止すべき副作用が現れた場合を除き、処方された抗菌薬は飲み切る。
その理由として、症状が改善しても細菌が残っており、それらが抗菌薬に対して耐性を獲得してしまう恐れがあることが挙げられる。

 

 

◆ 2について
2 〇 まれに痙れんしたり、意識を失うようなことがありますので、その際は直ちに受診してください。

 

小児等に対するピボキシル基を有する抗菌薬投与においては、
血中カルニチンの低下に伴う低血糖が起こることがあるため、
意識レベルの低下や痙攣に注意し、症状が現れた場合は直ちに受診する必要がある。

 

詳細は下記のリンク先を参照
ピボキシル基の代謝と低カルニチン血症に伴う低血糖

 

 

◆ 3について
3 × 下痢が起こることがありますが、よくある副作用なので心配ありません。

 

抗菌薬の投与により腸内細菌のバランスが崩れ、偽膜性大腸炎などの菌交代症が起こることがあるので、腹痛・下痢を繰り返すようなら受診する必要がある。

 

 

◆ 4について
4 × 尿が赤くなることがありますが、心配ありません。

 

セフジニル(セフゾン)投与では、尿が赤色を呈するので問題ないケースが多い。
しかし、セフジトレンピボキシル(メイアクトMS)の投与では、通常、尿が赤くなることはない。
抗菌薬の投与で尿が赤くなっている場合、腎障害やビタミンK産生菌の減少によるビタミンK欠乏症での出血傾向などで血尿となっていることが考えられるので、受診する必要がある。

 

 

◆ 5について
5 × 甘味がつけてあり、苦みを感じることはありません。

 

散剤では原薬の苦みを抑えるために甘味をつけてある製剤は多いが、苦みを感じることはある。
なお、セフジトレンピボキシル(メイアクトMS)はバナナ風味である。

 

 

★他サイトさんの解説へのリンク
102回問210,211(e-RECさん)

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