日本薬局方ニトラゼパムの確認試験 89回薬剤師国家試験問14

第89回薬剤師国家試験 問14

 

次の記述は日本薬局方収載のニトラゼパムの確認試験の一部である。
(1)及び(2)の試験で呈色する物質をa〜fより1つずつ選びなさい。

 

日本薬局方ニトラゼパムの確認試験 89回薬剤師国家試験問14

 

(1) 本品0.02gに希塩酸15mLを加え、5分間煮沸し、冷後、ろ過する。ろ液は芳香族第一アミンの定性反応を呈する。

 

(2) (1)のろ液0.5mLに水酸化ナトリウム試液を加えて中和し、ニンヒドリン試液2mLを加えて水浴上で加熱するとき、液は紫色を呈する。

 

日本薬局方ニトラゼパムの確認試験 89回薬剤師国家試験問14

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第89回薬剤師国家試験 問14 解答解説

 

(1)
日本薬局方ニトラゼパムの確認試験 89回薬剤師国家試験問14

 

 

(2)
日本薬局方ニトラゼパムの確認試験 89回薬剤師国家試験問14

 

 

下記のようにニトラゼパムにはアミドとイミンがある。

 

日本薬局方ニトラゼパムの確認試験 89回薬剤師国家試験問14

 

 

本文中に「希塩酸を加え煮沸する」とあるが、これによりアミドとイミンの酸触媒下での加水分解が起こる。

 

・アミドの酸触媒下加水分解
日本薬局方ニトラゼパムの確認試験 89回薬剤師国家試験問14

 

 

・イミンの酸触媒下加水分解
日本薬局方ニトラゼパムの確認試験 89回薬剤師国家試験問14

 

 

ニトラゼパムのアミドとイミンの加水分解により、下記のような芳香族第1級アミン(選択肢b)とグリシン(選択肢e)が生成し、それぞれの呈色反応を示す。

 

日本薬局方ニトラゼパムの確認試験 89回薬剤師国家試験問14

 

 

★ 芳香族第1級アミンの確認試験

 

試料中に芳香族第1級アミンが存在すると、酸性条件下での亜硝酸Naの添加により芳香族ジアゾニウム塩を生成し、さらに、津田試薬と呼ばれるN,N-ジエチル-N'-(1-ナフチル)エチレンジアミンシュウ酸塩の試薬を添加すると、津田試薬中の化合物の芳香環に対して、ジアゾニウム塩が求電子剤として反応し(芳香族求電子置換反応)、アゾ基(−N=N−)を有する化合物(アゾ色素)が生成して赤紫色を呈する。なお、津田試薬中の化合物の芳香環に対するジアゾニウム塩の求電子置換反応はジアゾカップリングと呼ばれる。

 

日本薬局方ニトラゼパムの確認試験 89回薬剤師国家試験問14

 

この反応は、元から芳香族第1級アミン構造を有する物質の他、加水分解や還元反応などを経て芳香族第1級アミン構造を生成する物質の確認試験にも使用される。

 

 

★ アミンの酸性条件下での亜硝酸Naとの反応のまとめ

 

亜硝酸塩または亜硝酸エステルは酸性条件下、ニトロソニウムイオン(+NO)を生成し、
それが求電子剤として反応する。
生成物は下記の表の通り

 

日本薬局方ニトラゼパムの確認試験 89回薬剤師国家試験問14

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