変旋光とは 示す理由(要因),示す糖の構造と見分け方 薬学化学

本ページでは、変旋光について説明しています。

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★ 変旋光とは?

 

変旋光とは、溶液の旋光度が時間とともに自発的に変化することである。

 

1例としてD-グルコースの変旋光について述べる。

 

D-グルコースには、鎖状構造のものと環状構造のものが存在し、比旋光度は下記の通り。

 

変旋光とは 示す理由(要因),示す糖の構造と見分け方 ヘミアセタール

 

上記のD-グルコースのどれか1つの純品でも混合物でも、水に溶かし平衡に達すると、下記のような割合の混合物となる。

 

変旋光とは 示す理由(要因),示す糖の構造と見分け方 ヘミアセタール

 

D-グルコースの水溶液の平衡状態の比旋光度は+52.7°である。

 

例えば、α-グルコピラノースの純品を水に溶かした直後の溶液の比旋光度は+112°であるが、その後、時間が経ち、平衡に達した時の溶液の比旋光度は+52.7°となる。

 

このように溶液の旋光度が時間とともに変化することを変旋光と呼ぶ。

 

 

★ 変旋光を示す糖の構造的特徴

 

二糖以上の糖質には変旋光を示すものと示さないものがある。
少なくとも1つのアノマー炭素がグリコシド結合に関わっていない、または、ヘミアセタール構造を有する(アノマー性OHが残っている)糖質は、溶液において末端が旋光度の異なる立体異性体に変換するので変旋光を示す。
また、糖の鎖状構造は還元性を示すが、上記の変旋光を示す糖質は鎖状構造に変換されるので還元性も示す。

 

ヘミアセタールとは、アルデヒド・ケトンに対してアルコールが1分子のみ求核付加した構造を指す。

 

変旋光とは 示す理由(要因),示す糖の構造と見分け方 ヘミアセタール

 

アルデヒド・ケトンに対するアルコールの求核付加反応は下記のリンク先を参照
アルデヒド・ケトンとアルコールでアセタール 91回問9c へ

 

 

下記のラクトース(乳糖)はD-グルコースの方のアノマー炭素がグリコシド結合に関わっておらず、ヘミアセタール構造を有する(アノマー性OHが残っている)ので、変旋光および還元性を示す。

 

変旋光とは 示す理由(要因),示す糖の構造と見分け方 ヘミアセタール

 

 

一方、全てのアノマー炭素がグリコシド結合に関わっている、または、ヘミアセタール構造の無い(アノマー性OHが残っていない)糖質は、溶液において環状構造から鎖状構造への変化が起こらないので、変旋光と還元性を示さない。下記のスクロース(ショ糖)やトレハロースは変旋光と還元性を示さない。

 

変旋光とは 示す理由(要因),示す糖の構造と見分け方 ヘミアセタール

 

 

変旋光とは 示す理由(要因),示す糖の構造と見分け方 ヘミアセタール

 

★参考外部サイトリンク
変旋光(wikipediaさん)

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